バンド計算関連用語集 [総合索引][Top]

目次
方法編
__マテリアルズ・インフォマティクス
基礎編
技術編
実践編
番(論)外編

関連有用[ページ2](←httpsページ。日本化学会、理論化学・情報化学・計算化学ディビジョンレポート)
関連有用[キーワード解説](MateriAppsにあるキーワード解説のページ)
用語は思い付いた順に書いていきます。ABC順でもあいうえお順でもありません。各用語に対応する英語訳の中には的確でない、間違っているものがあるかもしれません。また、間違いや誤った記述があるかもしれません。ご注意下さい(→著作権その他の諸注意、免責説明[ページ])。(メイルでの御指摘大歓迎です)

方法編[先頭]

APW法
Augmented Plane Wave method(APW):補強された平面波による方法
all-electron法の一つ。ポテンシャルに球対称マフィンティンポテンシャルを使用してい る。精度の高いバンド計算手法としては最も古い部類に入る。[参考文献]
【関連説明】球対称 (Spherical symmetry):動径方向の座標rにしか依らず、θやφ(←極座標を想定、つまり 角度)に依らないこと。これはポテンシャルVに関して、V(r,θ,φ)=V(r)であ ることを意味する。この時、∂V/∂θ=∂V/∂φ=0である(rにしか依らないか ら)。
LAPW法
Linear Augmented Plane Wave method(LAPW):線形化されたAPW法
all-electron法の一つ。ポテンシャルはマフィンティンポテンシャルを使用。 APW法で解くべき行列要素が、求めるべきエネルギーに依存する問題を線形化 によって回避している(→計算が楽になる)。[参考文献]
APW+lo法
Augmented Plane Wave + local orbitalによる方法
WIEN2kでも採用されている新しい手法。→参 考文献:E. Sjöstedt, L. Nordström and D. J. Singh, Solid State Communications 114, 15(2000)(新井さん情報 感謝
LMTO法
Linear Muffin Tin Orbital method(LMTO):線形化されたマフィンティン 軌道による方法
all-electron法の一つ。類似のものにASW(Augmented spherical Wave)法がある。第一原理バンド計算の中では非常に簡単化された手法で、計 算機資源をあまり要求しない。若干、精度を犠牲にしているところが弱点。 [参考文献]
KKR法
Korringa-Kohn-Rostoker method(KKR):コリンハ、コーン、ロストッカー による方法
all-electron法の一つ。ポテンシャルはマフィンティンポテンシャルを使用。 この手法を作った3名の頭文字が方法の名前になっている。電子の散乱を出発 点にしたバンド計算手法で、精度的にはAPWと同等である。[参考文献]
FLAPW法
Full Potential Linear Augmented Plane Wave method(FLAPW):フルポ テンシャルAPW法
all-electron法の一つ(Full Potential Linearized Augmented Plane Wave methodと言う場合もある)。球対称(これが制約になっている)なマフィンティンを使用せず、非球対称効果 を考慮した線形化APW法。all-electronバンド計算では、最も精度の高い計 算が可能であるが計算も大変になる。[参考 文献]
また、フルポテンシャル化は[LMTO法]や[KKR法]でも試みられている。
CPA法
Coherent Potential Approximation(CPA):コヒーレントポテンシャル近 似
単にCPAと言うことが多い。有効媒質理論(平均場近似)を もとにして、ランダム系(配置がランダムな2元合金が主な計算対象)のバン ド計算を行なう手法。電子の散乱理論を出発点とし(←KKR法)、その場合 はKKR-CPAとも言う。強結合(タイトバインディング)近似を使った、TB-CPA もある。
[参考文献1]
参考文献2:H. Ehrenreich and L. M. Schwartz, "The Electronic Structure of Alloys", Solid State Physics, Vol. 31, 149 - 286(1976), Academic Press
参考文献3:小田垣孝、「不規則媒質中の波動伝搬におけるコヒーレント波の考え方」、日本物理学会誌、第78巻、第1号、45頁(2023)
【関連語】t行列(t-matrix)、ローレンツ 型ピーク(←乱雑さからくる散乱の効果でピークが広がる)、単サイト近似 (単一サイト近似)、グリーン関数([Green's function]→逆行列、虚数部分 からの寄与→寿命=ピークの幅、非平衡グリーン関数〔輸送問題〕、自己エネ ルギー、GW近似)
TB法
Tight Binding method(TB):強結合近似法:強束縛近似法
歴史的にLCAO(Linear Combination Atomic Orbital)法のことと強結 合近似とがほぼ同義(厳密には違う)に扱われた時代があった。LCAOは波動関 数を表現する基底関数に、局在した原子軌道を用いる方法。強結合は電子が原 子に強く束縛されていることを意味する。このため、どちらかと言えば、非金 属系(電子が局在した系)に有効である。最近はこれをもとにした、 TBMD(Tight Binding Molecular Dynamics)による論文がよく見受けられる。
【関連語】Extended Hückel近似、スレーター・コスター近似、自由電子近似(←対義的な意味)
擬ポテンシャル法
Pseudopotential method
擬ポテンシャルを用いたバンド計算手法。通常、 価電子部分のみ(コアレス=内殻非考慮)からなる滑らかなポテンシャルを使 うので、波動関数を記述するための基 底関数に平面波を使うことができる。そしてこの擬ポテンシャル+平 面波基底を使ったバンド計算手法を、擬ポテンシャルを使ったバンド計算とか、 全エネルギー擬ポテンシャル法とか、単に擬ポテンシャル法とか言ったりする。
CP法
Car-Parrinello method:カー・パリネロ法:第一原理分子動力学法
従来の行列要素の対角化ではなく、波動関数に関しての仮想的な運動方程式 (ラグランジアンが出発点)から、電子状態を解いていこうとする手法。
対角化よりずっと高速、かつ少ないメモリーで計算を遂行できる。カー・パ リネロ法は、CP法と略して言われることもある。[参考文献]、参考文献2:筆者[D論](PDF形式、320 kb)
Ab-Initio Molecular Dynamics (AIMD), First-Principles Molecular Dynamics (FPMD) などとも言われる。
最初は、擬ポテンシャル+平面波によるものが独占的だったが、その後、タ イトバインディングCP(TB-CP或はTBMD〔広い意味で〕)法や、APW-CP法が出てきた。
All electron法
all electron method:all-electron法:全電子法(あまり日本語で言わ ない)
APW、KKR、LMTO法など、原子の全ての電子を取り扱うバンド計算手法の総称。 これの対極をなすのが、価電子のみを取り扱う擬ポテン シャル法である。お互い、一長一短がある。
全電子法は普通、基底関数がover-complete(完全系でない)であるので、 力やストレスなどの計算でのPulay補正の取り扱い が厄介である。一方、擬ポテンシャルでは基底に平面波を使うことが多く、力 やストレスの扱いが比較的楽になる。ただ、擬ポテンシャル手法では内殻の問 題を直接扱うことは通常出来ない。
PAW法
Projector Augmented Wave method(PAW):PAW法
最新のバンド計算手法である。筆者は詳細な内容を良く知らないので、[参考文献]を参照して欲しい。
参考サイト:[CP-PAW Home]、 P. Blöchl先生の[グループ]
バンド計算法 (バンド計算)
Electronic Structure Calculation:(Electronic) Band (Structure) Calculation:電子構造計算:電子状態計算
系の電子状態を電子計算機(コンピューター)を使って数値的計算で求める ための手法。経験的なものから非経験(第一原理)なものまで、多数の方法が存在する。その名にあるように、バンド理論に基づいている。その意味では、単に電子 構造計算、電子状態計算と言う場合、バンド計算ではないことがある(例:分 子軌道法〔量子化学計算〕)。
【関連語】第一原 理、第一原理バンド計算、バンドバンド構造周期的境界条件 ブロッホの定理
分子軌道法
Molecular Orbital method(MO method):分子軌道法:量子化学計算 【関連語】フラグメント分子軌道法
バンド計算とは親戚関係。主に化学屋さんが分子の電子状態を解く時に使用 する計算手法である。経験的、半経験的なものからCI(配置間相互作用)法の ような非常に高精度な非経験計算方法まで、多様な計算方法が存在する。
またバンド計算と比べると、市販化された優秀なソフトウェアが多数 (Gaussian94,98,03,09,16など)存在するのも特徴。[参考文献](特に”(3)”)
(古典的)分子動力学法
(Classical) Molecular Dynamics method(MD method)
カー・パリネロ法(第一原理分子動力学計算手法)が出現するまでは、バン ド計算そのものとは、あまり関わりはなかった(分子軌道法が近い親戚なら、 分子動力学法は遠い親戚にもなれなかった)。原子間の2体(場合によっては 3体以上の多体)相互作用ポテンシャル(大抵、経験的に求められる)をもと に、古典的な運動方程式を解いて、系の最適化構造(安定構造)などの物性量 を求める手法である。[参考文献](特に” (4)”)
バンド計算と異なり扱える原子の数は極端に多く、最近、90億原子からなる系の分子動力学計算の論文がarXiv:0810.3037(arXiv.org)に 出ていた。
実空間法
Real Space method
通常のバンド計算では、逆格子空間での計算が必須であるが、実空間法では、 逆格子空間での計算を一切行なわないで電子状態の計算が出来る。実空間法は 大きく分けて、波動関数を実空間上のメッシュ上で定義し、差分方程式によっ て解くものと、有限要素法を使って解くものの2つの方法が存在する。
更に実空間におけるメッシュの仕方において、等間隔メッシュではなく非等 間隔(adaptive coordinates:[参照 ])メッシュを使用して波動関数が局在する場合にも対応するよう拡張さ れた方法もある。
実空間法は、(1)逆格子空間を使用しないので、FFTを(畳み込みなどの 場面で)必要としない。(2)このため並列化に有利である。(3)周期的境 界条件を課す必要がなく、このため電場などを与えた条件下での計算が容易に なる。などの利点がある。
Γ点以外のk点】
Γ点以外のブリュアンゾーン内のサンプリングk 点は、波動関数の位相をずらすことによって計算される。これはブロッホの定理から、周期Rだけ位相をずらした波動関 数Ψ(r+R)が以下のように表現される。

Ψk(r+R) = eikRΨk(r)

これがΓ点以外のk点における波動関数に対応し、これを使うことによりΓ 点以外の計算が可能となる。因みにΓ点は、k = 0の場合に相当。尚、 実空間法でも周期系を扱う場合は、(スーパーセル のような大きなセルを扱わない限り)以上のようにブリュアンゾーン内の各k 点に関して計算する必要がある。この各k点での結果を足し上げて全エネルギー、全 電荷密度状態密度などが求まる。
オーダーN法
Order N method: Linear scaling DFT: Linear scaling method: O(N) method: O(N)
最近特に注目されている方法の総称。通常のバンド計算では、原子数に関し て(大体)3乗程度のオーダーで計算量が増加するが、これを一乗程度に減ら そうとする試み。
参考:<原子数の3乗の大雑把な根拠>基底が平面波の場合、平面波数は単位胞の体積に比例する。単位胞の体積は大体原子数に比例する。従って平面波基底のバンド計算の全体量は、大体平面波数×バンド数×原子数であり(平面波数とバンド数は原子数に比例するので)、原子数の3乗となる(←現在、検討中)。 密度行列(Density matrix)を使ったアプローチ(フェルミ演算子法 〔FOE法〕はこの範疇?、調査中)、ボンドオーダーポテンシャル (BOP)を使ったアプローチ、局在軌道(Localized orbital)を使っ た方法など、いくつかのアプローチがある(これらはVariational methodと Momentum methodと大別出来るらしい)が詳細は現在、調査、勉強中。
TDDFT法,TDLDA法
TDDFT: Time-dependent DFT, TDLDA:Time-dependent LDA
最近特に注目されているバンド計算手法の総称([参考文献][基礎 用語])。時間を含むシュレーディンガー方程式を出発点として、 時間発展を扱っていく。この場合、指数関数の肩に時間に依存するハミルトニ アンが出てくる。これを時間発展に関して数値的、逐次的に解いていくことと なる。解き方には複数のアプローチがあるが、まだ発展途上と言える。そもそ も時間発展を扱う必要がある系は、励起状態を扱う必要があるが、密 度汎関数法では励起状態を扱うことの妥当性の保証はない。他にも準位が時間 発展途上で交差する場合の取り扱いなどが、厄介な問題として挙げられる。現 在更なる調査、勉強中。
関連ページ:[www.TDDFT.org](←TDDFT関連コード)
www.tddft.org下のLibxcの[ページ]:LDA,GGA,Hybrid GGA,mGGA関数形(種類多数)に関するマニュアルページ。各関数型毎に対応する参考文献も有用。
参考文献は、(バンド 計算解説、DFT関連)の(6)参照。
DFPT
DFPT : Density-Functional Perturbation Theory
フォノン振動数(Phonon frequency)、分散曲線(Phonon dispersion)などを求める一方法。
従来の方法(Frozen phononによる方法)では、ユニットセル内の原 子を平衡位置からずらして(Δx)求まる力(F)から、F = kΔx(k:ばね定 数に相当)としてkを求めて振動数を得る(本当は、dynamical matrix を解く必要あり)ものである。この方法を使ってフォノン分散(=Γ点以外の k点でのフォノン振動数を求める)を求めるには、Γ点のフォノン計算で必要 だったセルより大きなスーパーセルを設定して計算 する必要があった(表面のフォノンのような元々のセルが大きな場合、より大 きなサイズのセルの計算は膨大な計算量となる)。DFPTでは線形応答 (Linear response)を使って従来の方法よりずっと効率良くフォノン振 動数、分散を求めることが可能である。現在、調査、勉強中。
このDFPTを用いることにより、フォノンだけでなくマグノン弾性定数帯磁率分極率などの計算 などにも応用することができる。
関連コード:Savrasov先生の[FP-LMTO]法や、[ABINIT]コード、[PWSCF]コー ドなどを参照のこと。
参考文献:[1]S. Baroni, S. de Gironcoli, A. Dal Corso and P. Giannozi, Review of Modern Physics, Vol. 73, 515(2001)
[2]D. R. Hamann, X. Wu, K. M. Rabe and D. Vanderbilt, Phys. Rev. B71, 035117(2005)[Metric tensor][Strain][Elastic][Piezoelectric]
【関連語】ヘシアン(Hessian)行列、フォ ノン振動数、フォノン分散、フォノン状態密度、Sternheimer方程式 (Sternheimer equation)
マルチスケール法、ハイブ リッド法
Multiscale method, Hybrid method
ミクロからマクロまでを統一的に扱う手法(または総称的言い方)。ミクロ 領域(原子レベル)では電子状態計算手法(バンド計算 分子軌道法)、中間的な領域ではタイトバインディング法分子 動力学手法、マクロ領域は有限要素法境界要素法などで 扱い、それぞれの領域の境界を何らかの手段で接続して全体として統一した計 算を行なう。各領域で行なわせる計算手法は先に述べた通りである必要はなく、 異なる場合もある。領域間をどう正しく接続させ、効率良くかつ精度の高い計 算を行なわせるかが重要な問題。
(参考)2013年ノーベル化学賞は、Martin Karplus先生、Michael Levitt先生、Arieh Warshel先生が、「複雑な系に対するマルチスケールモ デルの開発」で受賞。
Orbital free法
Orbital free method:備忘録[ペー ジ]参照。 【関連語】Thomas-Fermi近 似(理論)
Materials Informatics
Materials Informatics、マテリアルズ・インフォマティクス:参考ページ[1]Materials Project(←httpsページ)、[2]Materials Evolution(アクセス不能)、[3]AFLOWLIB.ORG: a distributed materials genome properties repository from high-throughput ab-initio calculation.、[4]Center for Inverse Design(*) 、[5]Center for Hierarchical Materials Design(*)(ChiMaD)、[6]スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成(文科省科研費「新学術領域研究」)[7]NoMaD(Novel Materials Discovery Repository)[8]統合型材料開発・情報基盤部門(MaDIS)【関連語】Inverse materials design, Materials genome, Data mining, Data mapping, Big Data, Database、ビッグデータ、データベース、機械学習、重回帰分析、多変量解析、エキスパートシステム、可視化

マテリアルズインフォマティクス [先頭]

基礎編[先頭]

逆格子(空間)
Reciprocal lattice (space):逆格子(空間)
何故、バンド計算で逆格子やそれに関連した用語、概念が頻出するのか?。
ユニットセル
Unit Cell:単位胞
バンド計算では最も大事な基本用語の一つ。一番簡単には四角い箱と思って もらえれば良い。その中に原子が入っている。通常の第一原理電子状態計算で は、ユニットセル内に入る原子の数は1個以上である(例:準結晶の 代替として使われる近似結晶では数百個にもなることあり)。ユニットセルは (周期的な繰り返しの最小単位という条件を満たす限り)任意の設定が可能。 但し、ユニットセル≠マルチセル(→スーパーセル)。【関連語】ブラベー格子(Bravais lattice)、 primitive unit cell(←"primitive"でない単位胞も設定出来る。例:ポリタ イプ構造での3H構造。3Hは3C構造〔ダイヤモンド構造や閃亜鉛鉱構造〕に相当)
以下、単位胞の任意性の例。右側、左側いずれも同じ格子構造(二次元)に 対する単位胞になっている。左側は、セル内に2個原子(●)が存在。右側は 1個存在(←原子〔この場合格子点と一致〕同士を結ぶ線は描画出来ないので 省略)。プリミティブ(primitive)なのは右側の単位胞。
●------●         ●
|        |
|   ●   |     ●      ●
|        |
●------●         ●
周期的境界条件
Periodic Boundary Condition(PBC)
普通、バンド計算に課される条件である。1023個オーダーの原 子をバンド計算の対象として扱えるはずもなく、実際は数個から数十個程度 (もっと多い場合あり)の原子からなる(格子)構造が周期的に並んでいると 仮定する。ここで言っている原子を収容するものが、ユニットセルやスーパー セルである。
【周期的境界条件が成り立たない場合】 (1)完全結晶でないもの:表面(薄膜、単層なども含む)[1]、界面(固液 界面なども含む)[1]、不純物[2]、欠陥[2]、(構造や原子配置が)乱れた系 (液体、ガラス、アモルファス、不規則合金、混晶など)[2][3]、準結晶[4]、 incommensurateな系(不整合系)、(2)(周期性を壊すような)外場が存在 する時
↑(代表的な)対処法:[1]スラブ近似(スラブ モデル)、[2]スーパーセル法、[3]CPA法(その他にも仮想結晶近似など)、[4]近似結 晶(藤原毅夫、「準結晶の電子状態」、固体物理、Vol. 24, No. 3, 93 (1989)参照 )、[∞]勿論、これら以外の対処方法もいくつか存在する。
【関連語】完全結晶、ブロッホの定理単位胞スーパーセル、Aperiodicity(非周期性)、実空間法
バルク(bulk)←固体としての塊(っぽいもの。辞書的な意味は、”かさ”、”体積”となる。更にバルクの関連語:体積弾性率(bulk modulus))
他の境界条件の例:(1)擬ポテンシャルの切断半径上での接続、 (2)マフィンティン半径上での接続、(3)原子を解く時の無限遠方の設定 等、境界条件の設定、処理は重要。
参考文献:(Aperiodic)A. König and N. D. Mermin, Phys. Rev. B56, 13607(1997)[Nonsymmorphic][Aperiodic crystal][Level degeneracy]
一体(一電子)近似
電子の多体相互作用の効果を、全て一つの電子が感じる一体のポテンシャ ルで置き替えてしまうこと。非常に荒っぽい近似だが結構うまくいってはいる (一電子近似の限界は明白で、多体効果を直接扱うアプローチも試みられてい る→[量子モンテカルロ法])。
密度汎関数法 (理論)
Density Functional Theory:DFT
電子の密度を変分関数として、その系の基底状態 が求められるとする理論。筆者は密度汎関数法と呼称しているが(そう呼称さ れている場合も多々見受けられる。特に間違いという訳ではない)、厳密には 密度汎関数理論が正しい。これは筆者にとっては非常に荷が重いので、他の [参考文献][ 情報ページ]を参照することを勧める。
【関連語】TDDFT, SCDFT メモ1:v-表示可能性 → N-表示可能性(”←”は必ずしも 成立しない)
メモ2:長距離→乱雑位相近似(RPA)、短距離→梯子近似、中距離→?(困 難)
メモ3:rsパラメータは、ウィグナー半径とも言う。
メモ4:現実の系(金属)におけるrs値の範囲は、1.8〜5.5程 度となる(参考文献:「コンピューターでみる固体の中の電子」、和光信也著、 改訂版(和光システム研究所刊行)の41頁)。
メモ5:自己無撞着(セルフコンシステント、self-consistent、つ じつまの合う)とは、繰り返し計算(変分計算)において入力と出力が一 致すること(=入出力差が十分小さくなること)。入力、出力の例:電荷 密度(電子密度)→電荷密度の混合
用例:変分計算で行なわれる繰り返し計算は、自己無憧着(つじつ まの合うよう)に行なわれる。
誤字例:”自己無頓着”は、検索してみると散見されるが全くの 間違いである。セルフコンシステントとしては、自己無撞着が正 しい。
局所密度近似
Local Density Approximation:LDA
電子に関する交換相関項(相関項とはも参照)に おいて、局所(local、rにしか依らない意味)毎の一様な電子ガスの密度の効 果で代替してしまう大胆な近似(Exc[ρ] = ∫εxc (ρ)ρ(r)dr、左辺→右辺で"[]"→"()"となっていることに注 意)。非常に成功したが、最近はそろそろ限界が見えてきている。これも詳し くは[参考文献][情報ページ][局 所密度近似ページ]を見て欲しい。
TDDFT、TDLDA
TDDFT:Time Dependent DFT, TDLDA:Time Dependent LDA:時間依存密度 汎関数理論(Real Time DFTと呼称されることもある)
先の、密度汎関数法(理論)に時間の概念を導入 したもの。光誘起、(光を当てることによる)原子脱離、電気伝導、絶縁破壊 など従来の密度汎関数法の範疇(つまりバンド計算)では、扱えない(扱い難 い)ものを対象としている。TDDFTで、ALDAを用いたものがTDLDAと呼称される (↓参考文献参照)。関連文献ページ[参照][手法]、 【関連語】Runge-Grossの定理(ルンゲ- グロスの定理)、TDKS、ALDA(Adiabatic LDA)
参考文献:岩田潤一、矢花一浩、「時間依存密度汎関数(TDDFT)に よる光応答計算」、「固体物理」<計算機ナノマテリアルデザイン>特集号 (Vol. 39, No. 11, p. 771, 2004)
参考文献2:矢花一浩、解説「多電子ダイナミックスの量子シミュ レーション - 時間依存密度汎関数理論の最近の発展 -」、日本物理学会誌、 Vol. 62, No. 6, 406(2007)
他の参考文献とし、 (バンド計算解説、DFT関連)の(6)参照。
局所密度近似を越える試み
Beyond LDA
先に述べたように、局所密度近似(LDA)には、いくつかの深刻な問題が存在 する。(1)半導体等のバンドギャップがまともに得られない。(2)BCCの 強磁性の鉄が安定構造にならない。(3)凝集エネルギーがあてにならない。 (4)表面での鏡像ポテンシャルが表現できない。(5)その他、多数の問題が指摘されている。以 下に、いくつかのLDAを越える試みついて書きたいと思う。
波動関数
Wave Function
基礎中の基礎ではあるが、逆に基礎故に説明は難しい。バンド計算では波動 関数のノルムをとると電荷密度になる(ではその電 荷密度は何と聞かれそうである)。また、バンド計算(平面波基底)における 行列要素を対角化して得られる固有ベクトルは、この波動関数と実質上等価で ある。

ρ(r) = |Ψ(r)|2 = Σ_n,k f_n,k|Ψ_n,k|2 (電荷密度〔電子の密度〕=波動関数のノルム)

ρは電荷密度、Ψは波動関数、nはバンド指標、 kはk点、f_n,kは占有数である。ただ”電荷密度=波動関数の ノルム”という言い方は少々厳密性を欠いているかもしれない(本当は、電荷 eについて考える必要がある。つまり電荷密度なら、ρ(r) = e|Ψ (r)|2が正しい。eは電子の電荷。但し、ハートレー原子単位では、 e2 = 1)。上の式は、

N = <Ψ|Ψ> = ∫|Ψ|2 dr = Σ_n,k f_n,k∫Ψ*_n,k(r)Ψ_n,k(r)dr

であり、Ψ*Ψ(=|Ψ|2)の 単位胞(またはスーパーセル)内の体積積分は、 系の総電子数N(単位胞当たり)となる。この時、波動関数は規格化されてい るとする(スピンを考えなければ、Σ_kΨ_ n,kで電子2個/ 1バンドに相当)。上式のΨ*Ψの体積積分自身は無単位量である。 つまり全空間(今の場合は単位胞内当たり)での波動関数のノルム(|Ψ |:確率密度)の総和は1である。このことから3次元での波 動関数の単位(次元)は、長さの(-3/2)乗であることが分かる。
(参考)(実、逆)空間波動関数、 電荷密度、コンプトンプロファイル、構造因子、運動量密度の関係
  • 平面波(Plane Wave:PW)
    波動関数を記述する場合使用される基底関数の一つ。 平面波の項目を参照。
  • ガウス関数(Gauss function)
    波動関数を記述する場合使用される基底関数の一つ。 混合基底法や、ガウス基底のみで記述するバンド計算法もある。因みにガ ウス関数g(x)は、g(x) = e-ax2 である(aは 正の値)。平面波と違い、局在した波動関数を記述するのに適しているが、平 面波程一般的ではない(ガウス基底が原子の位置に依存し、力などの表式が面 倒になるためなど)。
  • ワニア関数(Wannier function、ワニエ関数ともいう)
    波動関数を記述する場合使用される基底関数の一つ(これまで〔1/19、 1998現在〕はあまり使われたことがない)。局在した関数の例として、ど の物性(固体物理)関係の教科書にも載っている関数形。
    どうも最近(1/19、1998現在)注目されているようである。[参考文献]
    (10/4、2000)固体内の分極を記述する手法としても注目されている。参考文献:寺倉清之、”基礎理論の発展と応用(I、ペロブスカイト系強誘電体)”、固体物理<誘電体物理の新しい展開>特集号、620(2000)とその参考文献欄参照。
    関連ページ:[Wannier90](maximally-localized Wannier functionに関してのページ、GPLv2)
    ↑参考文献↑:A. A. Mostofi, J. R. Yates, Y. Lee, I. Souza, D. Vanderbilt and N. Marzari, Computer Physics Communications 178 (2008) 685[wannier90][Tool][MLWF]
    参考文献2:J.-M. Lihm, C.-H. Park, Phys. Rev. X 11, 041053 (2021) [arXiv:2112.10778][Wannier function perturbation theory][Localized representation][Interpolation][Wavefunction perturbation]
    参考文献3:K. Kurita, T. Misawa, K. Yoshimi, K. Ido, T. Koretsune, arXiv:2302.13531[Interface tool][Wannier90][RESPACK][wan2respack]
    関連ページ2:[WanT](maximally-localized Wannier functionを使った、Ab initio electronic transportを扱うコードに関してのページ。詳細は当該ページを参照下さい)
  • ベリー位相 (Berry's phase)
    これ自身は波動関数ではないが、上記ワニエ関数の”最近注目”の部分と深 く関わりがあるので、ここに記載することにした。
    参考文献1:R. Resta, J. Phys.: Condens. Matter 12, R107(2000)
    参考文献2:永長直人、「固体電子論におけるベリー位相」、日本 物理学会誌、Vol. 59, No. 8, 520(2004)
    参考文献3:中村和麿、連載企画5〜第一原理計算(応用編)〜 「分極およびワニエ関数に対する第一原理計算」、表面科学、第29巻、第7 号(2008年7月)、432〜436頁
    及び、上記ワニア関数での寺倉先生の文献参照。
    参考文献4:N. A. Spaldin, "A Beginner's Guide to the Modern Theory of Polarization", arXiv:1202.1831
  • ブロッホ軌道関数(Bloch orbital function)
    原著:F. Bloch, Z. Phys. 52, 555(1928)
  • ローディン軌道関数 (Löwdin orbital function)
    原著:P. O. Löwdin, J. Chem. Phys. 18, 365(1950)
  • 行列要素と擬ポテンシャルの非局所項
    参考文献1:A. J. Read and R. J. Needs, Phys. Rev. B 44, 13071(1991)[Optical matrix elements][Nonlocal pseudopotential]
    参考文献2:H. Kageshima and K. Shiraishi, Phys. Rev. B 56, 14985(1997)[Momentum-matrix-element calculation][Using pseudopotential]
電荷密度
Charge Density
その名の通り、任意の実空間における電荷の密度(ρ(r) = e|Ψ (r)|2、e:電子の電荷、Ψ(r):波動関数)である。ρ(r) = |Ψ (r)|2とした場合は、電子の(数)密度となる(電荷密度を”電子 の密度”と言う〔として考える〕場合あり)。つまりその空間中の任意の囲い の中に電子(の電荷)が何個入っているか(本当は単位体積〔或は一定体積〕 中の電子〔電荷〕数)を記述する量である。第一原理計算(バンド計算)で計 算対象となるのは、単位胞(またはスーパーセル)である。従って、電子の電 荷密度を単位胞で積分すれば単位胞内の電子の全電荷(Z)となる(Z = ∫ unit cellρ(r)dr)。電子密度(数として考える) なら、単位胞で積分すれば、単位胞内の全電子数(N)となる(N = ∫unit cellρ(r)dr)。電荷密度、電子(数)密度、いずれもρ (r)で表現されるとした。電子の全電荷、全電子数は、全電子法と、通常価電子のみを扱う擬ポテンシャル法 とで異なる。当然、擬ポテンシャル法では、価電子として扱った部分のみの全 電荷、全電子数となる。参考例:もし単位胞(体積Ωとする)内の電 子の分布が一様(=電子ガス)としたら、単位胞内の全電子数をN、電子1個 の電荷をeとすると、電子の電荷密度ρ(r) = ρ(一様なので位置に依存しな くなる)は、ρ = eN/Ωとなる(eN = Z:単位胞内の電子の全電荷)。参照: 波動関数
バンド計算で電荷密度を求める表式としては、筆者[D論](PDF形式、320 kb)の式2.37〜式2.41辺り を参照(←平面波基底の場合)。実際のコーディング[]。 【関連語】Mulliken電荷、Bader電荷、COHP(*)(Crystal Orbital Hamilton Population)、運動量密度
状態密度
Density of states: DOS
エネルギーE〜E+dEの間の状態の数(単位エネルギー当たりの状態数とも言 える)のこと。バンド計算では通常、状態密度と言えば電子に関しての状態密 度を指す。電子以外にもフォノンなどの状態密度が存在する。
状態密度を表す記号は、D(E)、N(E)、G(E)、ρ(E)などが使われるが、これ らの記号には他の意味で使用されるものもあるので注意が必要。状態密度D(E) (三次元)を求める表式は、

D(E) = 2(V/(2π)3iS dS (1/|∇kEi(k)|) = 2(V/(2π)3iBZδ(Ei(k)-E) dk

となる。∫SdS:(BZ内の)面積分、2:スピン縮退の数(2電子/1バン ド)、V:系(セル)の体積、Ei(k):i番目のバンド(固 有値、固有エネルギー)、∫BZdk:ブリュアンゾーン内で の積分。
kE(k) = 0 となる場合、状態密度に特異性 (異常)が表れる(→ファン・ホーブ特異点)
バンド計算での状態密度は、ブリュアン・ゾーン内(BZ)のk点に関して足し上げることにより求まる。つま りE-k分散曲線(→バンド構造)上でkに関して積 分(足し上げ)することにより求められる。足し上げ(積分)の仕方に関して は、テトラヘドロン法参照。電子の状態密度の 単位の表示例:state/eV/cell(状態数/eV/単位胞)。
【関連語】部分状態密度(partial DOS, projected DOS ← Σ_l<Ψ|Φ_l><Φ_l|Ψ>と抽出〔射影演算子を使って〕して求める。Ψ:波動関数、| Φ><Φ|:射影演算子〔Φの選び方によっていろいろな抽出が可能〕)、局 所状態密度(local DOS ← 局所〔local:rにしか依らない意味〕)、特殊点法ガウシアンブロード ニング法、状態密度のバンド計算例:[DOS](png画像、50 kb)
参考文献:V. Brazdova and D. R. Bowler, "Atomistic Computer Simulations (A Practical Guide)", WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA 2013の17.4 Density of States Projected DOS(←Broadeningや切断半径の効 果についての記述あり)
(自由電子の状態密度D(E))
一次元では、D(E)∝1/E1/2、二次元は一定値、D(E)∝constant、 三次元では、D(E)∝E1/2となる。
(原子内の束縛された電子の状態密度D(E))
孤立した原子における束縛された電子の準位は、とびとび(離散的)になっ ている。これを半ば強引にバンド構造としてのE-k分散として記述する と、それは平坦なバンドとなる。この平坦なバンドを波数kに関して足し込ん でいくと、デルタ関数的なピークを持った状態密度となる。このように電子が 束縛された状態で、その準位が離散化した場合、状態密度は鋭いピーク形状 (デルタ関数的)となる。不純物原子(欠陥)、ランダムに配置した合金(例: 不規則二元合金)、混晶、液体(アモルファス←構造のランダムさ)等による 散乱や外部との相互作用などにより、このピークは鋭いものからぬらっと広がっ たものになっていく(←【関連語】散乱の 寿命、ローレンツ型のピーク、グリーン関数(←参考文献:小口先生の”バン ド理論”〔内田老鶴圃〕の付録B参照)、KKR法)。
平坦的バンドの例:Ga (バルク→fcc構造)の3d軌道(-15 eV付近にある平坦的なバンド)←但し、 3d軌道は浅めなので、若干分散を持っている(←完全な平坦ではない=弱い ながら相互作用が存在=対応する状態密度もデルタ関数ではあるが、 少し広がっている〔はず〕)。より低いところにある3p以下の軌道はもっと 局在し、対応するバンドはより平坦となる。従って、それらの状態密度は3d 軌道によるものより鋭いものとなる。
第一原理
First-Principles: ab initio
格子定数のような基本的な物性量を除いて、何ら実験結果を参照しない、ま たは実験結果に符合するように理論計算で使用するパラメータや計算条件、設 定を(恣意的、意図的に)事前にいじったりしないことを意味する(非経 験的と言うこともできる。←ただ実際はある意味”経験と勘”が効くこと もあるのだが)。つまり理論計算だけで全てが閉じていて(←格子定数のよう な基本的な物性量の参照などは除く)、そこから結果を導いていることを意味 している。何ら具体的な比較対象としての実験結果に依らないと言うことも出 来る。但し、第一原理によるバンド計算においては、多種多様なパラメータが 存在する。ただそれらは計算の収束や効率に関するもの(例:電荷混合法の種 類の選択やそれらで使用されるパラメータ、エネルギーカットオフ、k点数、 擬ポテンシャルを作る時の切断半径、価電子の選択や局所ポテンシャルの選択、 マフィンティン半径、局所密度近似の式〔交換相関項〕の選択、バンドのブロー デニング〔或はk点足し上げの方法の選択〕、波動関数更新時の時間刻み幅 〔←最急降下法などの時〕、収束打ち切り判定などなど沢山ある)であり、計 算結果そのものに影響を与えないものが”ほとんど”である。←精度に影響を 与えるものは存在する。甘いパラメータでの計算結果が実験値に一見良く合い、 精度を上げると合わなくなることや、近似の段階を上げる(=理論上の精度を 上げることを意味する)と逆に実験と合わなくなることがある。
因みに第二原理、第三原理のような用語はないようである。

(11/26、2015)第二原理を発見:http://arxiv.org/abs/1511.07675(P. Garcia-Fernandez, J. C. Wojde, J. Iniguez, J. Junquera, "Second-principles method including electron and lattice degrees of freedom", arXiv:1511.07675.)
https://arxiv.org/abs/2207.10033(J. A. N. Aquino, R. de Sousa, "Flux noise in disordered spin systems: A second-principles theory", arXiv:2207.10033.)
第一原理計算とは言えない例)超伝導転 移温度をバンド計算から求める時、どうしても通常のバンド計算から得られな いパラメータμ*(Coulomb pseudopotetial parameter)がある。こ のパラメータに適当な値を入れて結果を得た場合、最早この転移温度を求める 計算は(第一原理バンド計算を基にしていても)”第一原理”とは言えない。 ←μ*を第一原理的に求める試みは存在する。←E. K. U. Gross先 生のところ。 ←2005年の論文リスト[M. Lüders, M. A. L. Marques, N. N. Lathiotakis, A. Floris, G. Profeta, L. Fast, A. Continenza, S. Massidda, E. K. U. Gross, "Ab-initio theory of superconductivity - I: Density functional formalism and approximate functionals", Phys. Rev. B72, 024545(2005)及び、"II"]参照。
他にμ*について扱っているものとして、K. Lee, K. J. Chang and M. L. Cohen, Phys. Rev. B52, 1425(1995)〔Alのμ* を計算〕を挙げておく。
参考式(McMillanの式): Tc = (< ω > / 1.2) * exp [ - 1.04(1 + λ) / {λ - μ* (1 + 0.62λ)} ]
< ω >はフォノン振動数の平均値、λは電子-フォノンの結合定数 (Coupling constant)、Tcは超伝導転移温度である。参考文献:W. L. McMillan, Phys. Rev. 167, 331(1968)
他の例としては、負の電子親和力の計算 (←GW近似などでより正確なギャップの値を求める 場合は別)や、LDA+U(←Uを第一原 理的に求める試みもある)による計算などがある。
(解釈は十人十様)
何を持って(バンド計算における)”第一原理”と考えるかは、研究者(或 は研究分野)によって解釈が微妙に異なる。おそらく物理屋と(量子)化学屋 との間でも解釈は概ね一致するはずだが、細かな(←ただ場合によっては無視 できない)差異は出てくると思われる。非常に厳しい基準を当てはめ れば、第一原理バンド計算と称する結果の多くはその基準を満たさない可能性 が高い。通常、バンド計算では前述のように多くのパラメータが存在し、計算 過程、条件の中に”恣意性”が入り込む余地も完全には排除出来ない可能性が ある。Hybrid-GGAなどで使用されているパラメータ設定(←結果に影響す るパラメータ)には、恣意的とも思われかねないものがある。これを厳密 に第一原理とみなして良いかには少々議論の余地がある。
【類似語】これと類似した用語として、”チューニングフリー” (調整不要、Tuning free)がある。これは、何ら経験(含む勘)、経験的パ ラメーターに依らないことを意味している。”パラメータフリー”という語も 存在する。
バンド
Band:帯(かなり強引な訳)、エネルギー帯、エネルギーバンド
固体内の物質の電子状態は、孤立して存在する原子の電子状態とは明らかに 異なった様相を呈する。孤立した原子の電子状態は、各軌道(←局在している) ごとに電子が占有していて、1s、2s、2p、、、、とエネルギーの深い方 からとびとびのエネルギー準位を形成している。
一方、固体では原子は単独に存在できるはずがなく、非常に接近したところ に他の原子が存在する。つまり固体では、ある原子に属する電子の軌道は、近 くの別の原子に属する電子の軌道とが重なっている(勿論、重なるのは価電子 のような外側の電子の軌道で、内殻の軌道は通常ほとんど重ならない)。←↑” 相互作用”という記述は的確でないので修正(9/13、2005)。勿論、 軌道が重なるという状況は、重なり合う軌道上の電子同士が強く相互作用し合 うことを意味しているが、軌道の重なりと関係なく電子-電子、イオン芯-イオ ン芯、電子-イオン芯(イオン芯=原子核+内殻電子←従って、電子-原子核と 考えても良い)の相互作用は存在し得る(例:ファンデルワールス相互作用)。 ただ、実質的には遠くの原子上の電子とは、遮蔽(screening)の効果などでほ とんど相互作用していない。この軌道の重なりによって、電子の取り得るエネ ルギー状態に幅ができる(→構造を持つ)。これがバンド(バンド構造)である。
従って、原子間の結合が強い(普通、原子間距離が短い)場合は、バンドの 幅がより広くなり(分散が強くなり→状態密度は拡がる)、結合が弱 い(普通、原子間距離が長くなる)とバンドが狭く平坦になる(原子的なエネ ルギー準位の状態に近い→状態密度は狭まる)。→原子内の束縛された電子の状態密度
(平坦なバンド、放物線的なバンド)
強く束縛された電子(例:孤立した原子内電子、バルク中なら内殻電子)に 対応するバンドは平坦(的)であり、E(k)はほぼ一定値となる (E-k分散がない)。つまり波数kに対する依存性がないことを意味す る。一方、自由電子バンド(E(k) ∝ k2:放物線)は、 k2(係数略)が自由電子の運動エネルギー(それが固有値となっ ている)であり、k = 0(実空間で考えれば無限に大きなセル)では、運動エ ネルギーはゼロである。逆にどんどんより狭い空間に閉じ込めていけば(波数 kが大きい時に相当)、運動エネルギーは放物線的に大きくなっていく。
(バンドの形成)
自由電子のエネルギーバンド(E = k2:係数略) に”弱い”周期的ポテンシャルを導入していくアプローチ、逆に強く電子が束 縛された孤立原子を出発点として、強結合(強束縛またはタイトバインディン グ)的アプローチ(=前述にもある、原子同士の接近による電子の軌道同士の 重なり)による記述が可能である。詳細は、固体物理、物性物理の教科書等を 参照して欲しい(→バンド理論)。
格子定数の長さによるバンド構造の変化(原子的なものからバンド的なもの へ)の図を示す (pngファイル、18KBほど)。
自由電子モデルにおける、E-k曲線(放物線、E = k2:係数略)、 或はそれを空格子点近似によって、BZ上で描いたも の(E-k曲線)もバンドと言う。
【関連語】バンド 構造バンド曲線、軌道(Orbital)、原子軌道、 分子軌道、バンド理論、非交差の規則:詳細は固 体物理関連の教科書等参照。 参考サイト:[The Orbitron](原子軌道、分子軌道のギャラリーのページ←シェフィールド 大学のMark Winter先生による)
電子状態
Electronic structure
電子の状態のこと(電子構造とも言う←狭義)。バンドとほ ぼ等価な意味として扱われる場合もある。類似の言葉として、Electronic state(これも訳すと電子状態)がある。
擬ポテンシャル
Pseudopotential:擬ポテンシャル(ごくまれに偽ポテンシャルとも書く)
原子における内殻電子部分を無視し、価電子部分だけで作られたポテンシャ ル。普通の物性では、内殻電子の寄与はほとんど無いので、内殻を無視したポ テンシャルでも十分な精度でのバンド計算が可能である。
最初は、経験的(非第一原理的)な擬ポテンシャルが使われていたが、現在 ではノルム保存型と言われる第一原理(非経験的)擬ポテンシャルの使用が主 流となっている。【関連】参考[ページ ][関連サイト]
【関連語】Kleinman-Bylanderの分離形
断熱近似
Adiabatic approximation, Born-Oppenheimer approximation:BO approximation
原子の動きに対し、電子が追随できるとした近似。カー・パリネロ法はこの 断熱近似が大前提である。
当然、実際の化学反応では電子が、原子の動きに追随できない場合も多数あ る(非断熱項←電子格子相互作用なども非断熱項が関わる)。
原著:M. Born and J. R. Oppenheimer, Ann. Phys. 84, 457(1927)←ボルン‐オッペンハイマー近似
【関連語】断熱ポテンシャル面: Born-Oppenheimer Surface
(注意)厳密にはボルン‐オッペンハイマー近 似と断熱近似には非断熱項の扱いに違いがあるが(断熱近似では非断熱項の対 角部分は残す)、実際には両者とも同義として扱われることが多い。
バンド計算での単位
原子単位:ハートリー原子単位系(Hartree Atomic Unit)、リュードベ リ原子単位系(Rydberg Atomic Unit)
バンド計算ではこれら2つの原子単位系が使われることが多い。リュードベ リ単位系は特にカットオフエネルギーの単位(Ry)としてよく見かける(最近は、 eVで表現している場合も多くなった。ハートリー単位での表記は希)。

(臨時)ミリは千分の一、マイクロは百万分の一

(臨時2)キロは千、メガは百万、ギガは十億、テラは一兆、一兆=1 兆=10の12乗= 1012
1000キロ=1メガ、1000メガ=1ギガ、1000ギガ=1テラ、 1000000メガ=1テラ、1000000000キロ=1テラ

定義:Rydberg原子単位 m = 1/2, e2 = 2, h/2π = 1
定義:Hartree原子単位 m = e2 = h/2π = 1, π(pi):円周率

注意:1 a.u. = 27.2116 eVは、最新のデータでは、1 a.u. = 27.2114 eVとなっている。これにはおよそ、0.2 meVの差がある。計算コード や、論文等でこの手の物理定数の数値がお互い異なる場合があり得る。換算が 閉じていれば良いが、異なる数値(27.2116 eVと27.2114 eV)での換算が混在 すると大変なことになるので注意が必要(←第一原理反応グループメンバーに 深く感謝)。
以下にある換算は、1 a.u. = 27.2116 eVを前提と している(はず←正直、無保証)。但し、参考文献等からのものはこ の限りではない。実際の使用、運用に関しては各自で換算、チェックして欲し い。尚、数値と単位は半角1文字分空けてある。

バンド計算で扱う結晶構造の例
[Page] of Examples for Crystal Lattice Symmetry
収束するとは?
Convergence
良くバンド計算で、何々が収束するという記述や発言がある。これは大抵、 全エネルギー 電荷密度、ポテンシャル、力(イタレーション毎に変化する部分)などが 収束したことを指す。つまり、バンド計算によって、系の電子状態の基底状態 を求める場合、繰り返し計算(イタレーション)を何度も行なって、計算途中 の結果がある基準に達したら計算は収束した(十分な精度で基底状態近くに到 達した)とみなす。
当然、基底状態よりも低いエネルギー状態になる(収束する)ことは有り得 ない(あったら、そのバンド計算は間違っているとみなせる)。
この判定の対象が、先に述べた全エネルギー(場合によっては自由エネルギー、 エンタルピーが収束対象になることがある)、電荷密度、ポテンシャル、力な ど(どれか一つ、或は全てを判定対象にしても良い)である。この場合、1回 前のイタレーションの値と、現イタレーションで得られた値と比較して、それ らの差が十分に小さくなることが、計算が収束したことなのである。 判定基準は、扱う系や、どのくらいの精度が必要かによって異なる。また全エ ネルギーの収束は、他の電荷密度などの収束より速い(少ないイタレーション 回数で収束する)ので注意が必要な場合がある。→本当は収束していなかった という事態に陥ることがある。
【関連語】力の 収束、変分、SCF、セルフコンシステント(自己無撞着)
トランスフェラビリティー
Transferability
原子のポテンシャルから作られた擬ポテンシャルが実際のバンド計算という 状況下において、どの程度実用に耐えうるかの尺度(許容度)。
実際のバンド計算は、いろいろな環境下で行なわれる(バルク、表面、クラ スター、不純物、欠陥等)。本当はどのような環境下でも、正しい結果を与え なければならないが自ずと限界がある(原子から作られた価電子のみに対する 〔擬なる〕ポテンシャルを実際の系に埋め込むのだから、限界は当たり前とも 言える)。
ノルム保存型擬ポテンシャルでは、擬波動関数の対数微分に対するエネルギー 微分が切断半径上(及びその外側)で、実波動関数のものと一致するという要 請があり、これがtransferabilityをある程度保証している。普通、参照され るべきエネルギーは1つのみだが、複数にすればそれだけ、transferability は増すが擬ポテンシャル作成は難しくなる。
Blue Moon Algorithm
Blue Moon Algorithm
先日(1997年)こまばエミナースで行なわれたJRCATシンポジウム(1997年)で初めて知った用語(簡単な英和辞書によると、a blue moonは”滅多にないこと”を意味します)。この前のJRCATワークショップでも耳にしました。特に、Mauro Boero先生が関わっています。どうも有限温度における電子状態計算に関しての方法論のようです。【関連語】Metadynamics(メタダイナミックス←関連文献
参考文献1:E. A. Carter, G. Ciccotti, J. T. Hynes and R. Kappal, Chem. Phys. Lett. 156, 471(1989)、
参考文献2:寺倉清之、森川良忠、M. Boero、”触媒反応の第一原 理シミュレーション:動的過程の解明に向けて”、触媒、Vol. 42、 No. 3、 200(2000)の第四節(4/28、2000)。
関連文献3:長柄一誠、石河孝洋、”新しい理論的手法により最近 決定された超高圧下の単体構造”、固体物理、Vol. 42, No. 12, 891(2007)
ブリュアン・ゾーン
Brillouin Zone:BZ
バンド計算では必須の概念と言ってもよい。詳細は、固体物理の教科書には 載っていないものはないので、そちらを参照されたい。いわゆる、このブリュ アン・ゾーン(ブリュアンゾーン、ブリュアン域、ブリルアン・ゾーン、ブリ ルアンゾーンとも言う)内をサンプリングした点が、 k点(k-point)である。このk点と電子の固有エネルギーとの関係 (分散関係)が、バンド構造(Electronic structure、Band structure、Electronic band structure、Electron band structure、この他 に、E-k曲線、E-k分散(曲線)、分散曲線〔Dispersion curve〕などとも言う) である。ブリュアン・ゾーン:[BZ] (www.nims.go.jp/cmsc/へ、png画像、8 kb、六方晶の場合)。バンド構造の 参考[ページ]。
k点の積分の仕方関連:[文献 ][テトラヘドロン法]。
(補足)k点数が多いということは、サンプ リングの点が多いということであり、積分の精度を上げていることに相当する (勿論これは、バンド計算としての精度を上げる)。
(実空間法では)
k点は逆空間(逆格子空間)での座標であり、実空間 法では直接出てこないが、位相をずらすことでΓ点以外のk点に相当する 点での計算が実現される(←実空間法の項目参照)。
【関連語】k空間、波数(空間)、逆格 子空間、第一ブリュアン・ゾーン、偶然縮退、バンド 曲線:詳細は固体物理関連の教科書等参照。[テト ラヘドロン法]。
参考文献:柳瀬章、応用物理 基礎講座 <今さら聞けない? 基礎中 の基礎> 「波数空間とは」、第80巻、第8号、722頁(2011)
相対論効果
Relativistic effect
通常のバンド計算ではあまり気にされないが、特に重い元素を扱う場合や、 スピンと電子の軌道の相互作用を考える場合などで大変重要となる。重い元素 では相対論効果によるバンド構造への影響が無視できない場合がある。相対論 効果を考慮する場合、全ての相対論効果の項を用いる場合 (full-relativistic)と、スピン軌道相互作 用ls項、l ≧ 1で効く)などは考慮しない場合 (scalar-relativisticまたは、semi-relativistic)とがある。
擬ポテンシャルの計算では作成時に相対論効果を考慮すれば、 scalar-relativisticな効果を擬ポテンシャルに押し込むことができ、これを 使用したバンド計算でもscalar-relativisiticな形での相対論効果が自動的に 考慮される。但し、これを実現するためには擬ポテンシャル作成時に元となる 原子の電子状態計算で、KoelingとHarmonの形式のような相対論を考慮したものが使 用されていなければならない。
どの程度重い元素から相対論効果を考える必要があるかであるが、これは計 算対象となる物理量などに依存しケースバイケースであり、ある程度軽い元素 でも考慮しなければならない時もある。通常は、周期表の第5周期(4d遷移 金属のある列)辺りから相対論効果が重要となってくる。スピン軌道相互作用 は、その影響を受ける軌道(エネルギーバンド)が分裂したりするが、格子構 造に対してはあまり影響を与えない模様(←これは調査中)。類義語 に、”相対論補正”がある。
相対論効果により、軌道(特にs軌道)の収縮が起こる(←参考文献4、5 参照→)。軌道収縮により、より外側の軌道は、収縮による遮蔽の強まりによ り、原子核からの結合が弱まる。 参考文献1:S. Suzuki and K. Nakao, J. Phys. Soc. Jpn. Vol. 68, No. 6, 1982(1999)[Full relativistic FP-LCAO]
参考文献2:S. Suzuki and K. Nakao, J. Phys. Soc. Jpn., Vol. 69, No. 2, 532(2000)[Scalar relativistic][Full-potential][LCAO]
参考文献3:Periodic table up to =< 172 : P. Pyykko, Phys. Chem. Chem. Phys., 13, 161(2011)[Dirac-Fock calculation][Atoms and ions]
参考文献4:「コンピューターでみる固体の中の電子」、和光信也 著、講談社サイエンティフィク、平成18年3月31日改訂版(和光システム 研究所刊行版の11.11 相対論的APW法での説明)
参考文献5:「周期律のほころび」、E. シェリー、日経サイエンス 2013年10月号、066頁
既に言及している、KoelingとHarmonの原子の計算の論文(ディラック方程式によって原子の 電子状態を解く)も重要。
フォトニックバンド
Photonic Band
最近良く見かける用語であり、フォトニックバンド計算という言葉もそここ こで見聞きするようになりました。しかしこれは本サイトで扱っているバンド 計算とは、”似て非なるもの”と言えます。筆者は、この用語分野は全くの専 門外(手法や概念には共有、共通するものもありますが)なので、これ以上の 言及はできません(詳細は、オンライン上の検索エンジン等[”フォトニック 結晶”、”フォトニックバンド”などの鍵語で検索]でお調べ下さい)。
【関連語】フォトニック結晶、フォトニッ クバンドギャップ、誘電体バンド、空気バンド、光のアンダーソン局在、FDTD (解析)←(11/17、2005、修正)FTDTではないことが判明。
乱雑さをどう扱うか
How to treat randomness
周期的境界条件が前提のバンド計算にとって難しい問題。準結晶を類似する近似結晶で代替して扱う手があるように、乱雑さ(ランダムさ)をバンド計算で扱う手はある(はず)。一つには、大きなスーパーセルを考えて、その中でランダムに原子を配置することが挙げられる。これで位置に関してのランダムさをある程度再現できる。勿論、周期的境界条件下ではどんなに大きなスーパーセルでも当該セル同士が周期的に並んでいるので、本当のランダムさを扱っている訳ではない。
ランダムさを何らかの平均で近似する手もある(→単純な濃度平均、仮想結晶近似、CPA〔平均場近似〕など)。 関連語CPA、仮想結晶近似、濃度平均、平均場近似、乱雑位相近似、周期的境界条件、乱れ、disorder、Special Quasirandom Structure (SQS)[A. Zunger, S.-H. Wei, L. G. Ferreira and J. E. Bernard, Phys. Rev. Lett., 65, 353(1990)]
虚数の意味(虚数部分、虚部)
Imaginary part
電荷密度(実空間での電子の分布)やバンド構造、状態密度は、普通実数。フォノンバンドは、負(虚数)になることがある(→構造の不安定を示唆)。
グリーン関数の虚数部分→状態密度、虚数部分→散乱における寿命、フォノンの虚数部分→構造不安定、クラマース-クローニッヒの関係(Kramers-Kronigの関係←実部と虚部の関係)、エルミート行列
超微細
Hyperfine
関連語:Hyperfine interaction, Hyperfine parameter, Hyperfine structure
バンド計算関連備忘録のHyperfine interactions(parameters)参照。

技術編[先頭]

ブロイデン法
Broyden method (”電荷密度の混合”の一方法)
バンド計算のイタレーション毎に行なわれる古い電荷 密度と新しい電荷密度の混合(電子密度の混合)が行なわれる場 合の一手法。通常、最も簡単なのは単純な混合によるもの(単純混合、線形外 挿法、線形混合などとも言う)で、バルクに対してなら、新しいものを30%、 古いものを70%(この%は、計算状況、条件でまちまちである)とういう形 で混ぜると収束が速くなる(混ぜないと振動したり して収束しないことがある)。
ブロイデン法は、この電荷密度混合による収束を更に速くすることが可能で ある(どのような場合でも速くなる保証はない)。[参考文献]
それ以外にも、準ニュートン法や、チェビシェフ多項式を使ったもの、 Kerkerによる電荷混合の方法、アンダーソンの方法(Pulayの方法とも言う← 線形外挿法を拡張したもの)などがある。 参考文献:D. Raczkowski, A. Canning and L. W. Wang, Phys. Rev. B64, 121101(R)(2001)[Thomas-Fermi charge mixing]
テトラヘドロン法
Tetrahedron method:四面体法
フェルミエネルギーまで、[ブリュアンゾーン]内 のk点に関して足し上げる一手法。ブリュアンゾーンを沢山の四面体で分割し て、その体積で積分を行なっていく。当然、フェルミ面が横切っている場合も、 解析的に積分できるように近似(普通は単純な一次直線補間)する。単純にk 点で足していくより精度がずっと良い。また、金属的な系の計算も可能である。 参考文献
参考文献:河村光晶、常行真司、実験室:「最適化テトラヘドロン 法を用いた高精度ブリルアン領域積分」、固体物理、第51巻、第1号、25 頁(2016)
(有用な)参考ソフト:libtetrabz
2次元の[ブリュアンゾーン](表面系など)に 対する[方法]もある。
最急降下法
Steepest Descent Method (SD):最急降下法:最速降下法
バンド計算手法としてこの方法が出てくるのは、カー・パリネロ(CP法)絡 みである。元々のCP法では波動関数の時間による(仮想的な)更新が運動方程 式(時間の2次微分)によって行なわれるのに対し、これを1次微分の形に近 似してしまったのがこの方法。1次微分にした分話が簡単になり、用意してお く波動関数も1イタレーション前のものだけで済む。また、最終的には規格直 交条件の下で逐次計算(SCFループ)が収束すれば良く、2次微分でも1次微 分でも収束すれば同じ結果に通常辿り着く(1次微分のみだと、準安定状態に つかまるのではないかという危惧もあるが、実際に計算してみるとそのような ことは経験上ほとんどないと言える。←ただこれは初期条件〔初期値〕にも依 存する)。
グラムシュミットの直交化
Gram-Schmidt orthogonalization
直交化の方法にはいくつか(例:ローディンの直交化)あるが、最も良く使 われるのが、このグラムシュミットの方法である。従来の対角化(固有値問題) では、普通数値演算ライブラリの対角化ルーチンが自動的に直交化を行なって いたが、カー・パリネロ法の出現によって、直交化をユーザー側が施さなけれ ばならなくなった(当然、直交化の対象は、規格直交化すべき波動関数である)。 実際の計算では、より効率の高い修正グラムシュミット法が使用される。 バンド計算でのコーディング[] (bandstructure.jpへ)。
エバルトの方法
Ewald method
ユニットセル(スーパーセル)内の原子核(イオン芯)同士のクーロンエネ ルギー(相互作用)を効率良く計算する手法(実空間部分と逆空間部分に分け てそれぞれを計算し、最終的にそれらの和をとって結果を得る)。Zungerの論文は参考(特に発散項の打ち消しに関して) になる。また[参考文献]のどれか(特に 文献(4)の2.2.6(a)など)には、詳しい記述がある。バンド計算での コーディング[] (bandstructure.jpへ)。
関連文献:福田育夫、「長距離力をいかに精度よく効率的に見積もるか - 零多重極子和法による静電相互作用計算 -」、日本物理学会誌、第72巻、第11号、793頁(2017)
Kleinman-Bylanderの分離 形(KB分離形)
Kleinman-Bylander separable form
擬ポテンシャルの非局所部分の計算を、より高速にするための近似。普通な ら平面波数Nの2乗のオーダーの計算量が必要であるが、この分離形を用いる とほぼNのオーダーまで計算量を減らすことができる。
但しこの方法には、上手にポテンシャルを作らないと、 ゴーストバンド(Ghost band)が生じるという深刻な問題がある。[参考文献](ゴーストバンドに関しては、関 連論文2のGonze等による文献(3)が有用)、加えて筆者[D論](PDF形式、320 kb)の、2.1.2節(KB分離)、 2.3節(力の非局所擬ポテンシャル部分のKB分離形表式あり)、及びAppendix Aにも関連記述あり。
(参考)ゴーストバンドの例:W (png画像、10 kb、タングステンのバンド構造でフェルミレベルより上、10 eV付近にあるのがゴーストバンド)。←ゴーストバンドがない場合 (png画像、28.3 kb)
畳み込み
Convolution
以下のようなものが畳み込みの関係にある。

A(G)=ΣG'B(G')C(G-G')

これは逆格子Gの数(Nとする)の2乗のオーダーの計算になる。この場合、 FFT(高速フーリエ変換)を利用することによって、計算量をNの2乗から NlogNのオーダーまで減らすことができる。バンド計算(特に擬ポテン シャル+平面波基底の場合)では電荷密度ρ(G) (←ρ(r)をフーリエ変換したもの)や〔局所擬ポテンシャル×波動関数〕部 分などの計算で用いられる。詳細は筆者[D論 ](PDF形式、320 kb)、FFT関係解説書などを参照して欲しい。
エリアスの方法
Arias's method:エリアスの方法:アライアスの方法
第一原理分子動力学計算などで1イタレーション先の波動関数を、補間外挿 して予想しておく方法。計算の収束が速くなる。(ちょっと曖昧、詳しい内容 は[参考文献]を参照して欲しい)
RMM-DIIS法
Residual Minimization Method - Direct Inversion in the Iterative Subspace:RMM-DIIS
本当は、RMM-DIIS法と”法”と付けるのはおかしい。この方法の詳細は、筆 者が勉強不足のため不明です(誰か解説、情報提供してくれるバンド屋さん大 歓迎)。
最近のお勧め論文のG. Kresse等の論文 参照。
参考文献:香山正憲、田中真悟、岡崎一行、”RMM-DIIS法を用いた効率的な第一原理分子動力学プログラムの開発”、材料、第52巻、第3号、260頁
状態方程式
Equations of State for Universal, Murnaghan, Birch-Murnaghan, etc.
マーナハンの式[参考文献]はバンド屋 さんの世界でも有名。間連語:体積弾性率(bulk modulus [複数形:moduli])
参考文献:"IR spectroscopy of alkali halides at very high pressures: Calculation of equations of state and the response of bulk moduli to the B1-B2 phase transition", A. M. Hofmeister, Phys. Rev. B56, 5835(1997)の、5844ページに、上記方程式の表 (但し圧力に関してのみ)があります。
ローディンの摂動
Loewdin perturbation, Löwdin perturbation: ローディンの摂動
[参考文献]にあるように、古くからあ る手法である(最近はあまり見かけない)。
逆格子Gの大きな部分を摂動と考えて、実質的なバンド計算量を減らそうし たもの。現在のような力やストレスの計算が必要な場合、それに対する摂動項 も考えねばならず、またカー・パリネロのように原子を動かしていく場合、摂 動のような近似を更に導入すること自体があまり有効であるとは言えない。
場合によっては(電子状態のみの計算で、大きなGの寄与が小さい時)有効 な場合もあると考えられる。
プーレイ補正項
Pulay correction term: プーレイ補正項
力やストレスの計算において生ずる補正項。それは、(1)原子に働く力は 位置座標に関しての微分のため、基底関数が位置に依存する場合はその微分も 考慮しなければならないことによって生じる。基底が平面波の場合は、 平面波が位置に依存しないのでこの微分の項は生じない。但し、基底関数が位 置に依存しても完全系ならばPulay補正項は消える。(2)基底が完全 系でないことによっても補正が必要である(例えば、all-electron法の多くは基底がオーバーコンプリー トになっているのでPulay補正項が出てくる。基底の数が十分でないと、 この補正による影響が陽になってくる〔一方平面波は完全系を成すので問題な い。←実際の計算では基底の数が有限であるが十分に平面波数を確保すれば、 その問題は無視できる〕)。(3)バンド計算そのもの(SCF計算)が収束し ていないと、(1)、(2)の問題を回避したとしても、入力の電荷密度と出 力の電荷密度が一致しないことにより、Pulay補正項が残る。
参考文献:P. Pulay, Mol. Phys. 17, 197(1969)
P. Pulay, Mol. Phys. 18, 473(1970)
P. Pulay, Mol. Phys. 21, 329(1971)
C. Satoko, Phys. Rev. B30, 1754(1984)
(Pulay-type formula for surface stress)P. J. Feibelman, Phys. Rev B44, 3916(1991)
A. Di Pomponio, A. Continenza, R. Podloucky and J. Vackar, Phys. Rev. B53, 9505(1996)
(Errors in HF forces)F. Wagner, Th. Laloyaux and M. Scheffler, Phys. Rev. B57, 2102(1998)
岩波講座応用数学”計算物理の方法”、第2章「物質設計の数理」寺倉清之、 2.4(a)Hellmann-Feynman力の節
零点振動補正
Zero point oscilation correction
バンド計算は絶対零度が前提となっている。その時本当は格子の零点振動の 効果は存在するが、普通は考慮されない。しかし精度が問題になる場合、零点 振動による補正が必要になる場合がある(参考文献等、詳細は調査中)。 Moruzzi等によるでは、零点振 動エネルギーの値が載っています。
参考文献:C. Lee and X. Gonze, Phys. Rev. B51, 8610(1995)[比熱、エントロピーの式あり]の式(1),(2),(9)、 M. H. F. Sluiter, M. Weinert and Y. Kawazoe, Phys. Rev. B59, 4100(1999)の式(18),(19)が、零点振動エネルギーに関連する表式。
カノニカルバンド(正準バ ンド?)
Canonical Band
擬ポテンシャル+平面波の世界では聞いたことがない用語。all-electron法 では良く使われるらしい。
最近(8/16、1999)、非常に参考になる文献を発見。小口先生の 「バンド理論‐物質科学の基礎として」(内田老鶴圃刊)の7.4節(105 頁)が”カノニカルバンド”という題であり、説明がなされている(本当に理 解するためには、この節だけでなくそれ以前の説明の部分の理解も必要)。
更に(9/3、1999)、藤原先生の「固体電子構造‐物質設計の基礎‐」、 朝倉書店の4.6.2節、”LMTO法によるカノニカル・バンド”(116 頁)でもカノニカルバンドに関しての記述がある。
フェルミ速度、フェルミ面
Fermi velocity:バンド計算からも計算することが可能。 [QQC-BBS](閉鎖)の496番目のところ(3/14、2003、リンクをは ずす)でいくつか議論されています。結晶内電子の波束の速度の表式、

vk = 1/h x dE/dk (h:h/2pi)

でのフェルミレベル(フェルミ面)における値がフェルミ速度だと考えられ ます。この式でhは、hバーのことでhを2πで割ったものと考えて下さい。k はブリュアンゾーン内のk点です。第一原理バンド計算ではdE/dkの厳密な表 式は与えられていないようで、数値微分によって求められているようです (QQC-BBSより、調査休止中)。
Fermi surface:[The Fermi Surface Database]のページ(フロリダ大学、物理学科〔米国〕。大変有用)。使用方法等の詳細は、当該ページをご参照下さい。
FermiSurfer:フェルミ面描画に関する可視化ツール
【関連語】ブリュアンゾーン、dHvA、コンプトン散乱、陽電子消滅実験(2D-ACAR)
自由電子モデルでのフェルミ面は、3次元で球面(kF2 = kx2 + ky2 + kz2より)となる(←フェルミ球球面上がフェルミ面となっている)、2次元なら円周(kF2 = kx2 + ky2より)となる(←敢えて言えば、”フェルミ円”の円周上がフェルミとなっている)。1次元なら点となる(←1次元だとフェルミ面に相当するものはにしかなり得ない。つまり”フェルミ線”上の端である”フェルミ点”)。
全エネルギーの比較 (結晶の安定性の判定方法)
Comparison between total energies
バンド計算において、計算対象としての結晶の化学組成が同じ系同士では、 直接的な全エネルギーの比較が可能で、系同士の安定性の議論をすることが出 来る。但し、この場合各組成を構成する原子のポテンシャルが対象となる系全 てにおいて共通であり、計算条件も同一(或は、同一とみなせるもの) でないといけない。交換相関部分の表式が異る、擬ポテンシャルの種類が異る (切断半径が異なっても不可)ような系同士の全エネルギーの比較は出来ない。 勿論、全電子計算手法による全エネルギーと擬ポテンシャル+平面波基底によ る全エネルギーの比較も出来ない(と言うか意味がない)。エネルギーカット オフや、k点数もなるべく共通なのが良いが、k点数は結晶構造(←対称性)が 異なると共通には出来ないので、k点数の全エネルギーの収束性につい て十分検証しておく必要がある。エネルギーカットオフ或は基底関数の数と全 エネルギーとの収束性についても注意する必要がある。
一例を以下に示す。ある単体元素において結晶構造がBCCとFCCの場合の安定 性を比較する場合、BCC、FCCの最も小さい単位胞はいずれも1個の原子を収容 する。従って、BCC、FCCでそれぞれの単位胞当たりの原子数は同じである(← 最も比較し易い)。そして、それらの全エネルギー‐体積の曲線を同一のグラ フ上に描くことができ、それらの安定性を議論することができる。それぞれの 全エネルギー‐体積曲線の共通接線 が引ければ、その傾きがBCC <-> FCCの構造相転移の転移圧力でも ある(参考〔png形式、12 kb〕:α、β、γ(最安定)の3つの相における、全 エネルギー - 体積曲線。α相、β相に共通の接線が等エンタルピー線であり、 この線の傾きが転移圧に相当する。注:図とウェブページ上の文章とは必ずし も整合していない)。但し、この場合お互いの計算条件(ポテンシャルの型、 交換相関項の種類、ブローデニングの条件・種類等)が同じであり、基底関数 やk点数も十分収束していることが強く望ましい。ここで問題となるのは、全 エネルギーの絶対値ではなくお互いの相対的な差(関係)のみである。 絶対値にはほとんど意味がないと考えてよい(←これに関しては、Ihm, Zunger and Cohenの論文←リンク先の文 献[6]が参考になる)。
不純物や空孔などの安定性の議論や、化学組成が異なる系同士(例: ANBMとAMBNとの比較←勿論、 N ≠ M)の安定性の議論を行なうためには、全エネルギーでなく凝集エネ ルギー(Cohesive energy)としての比較が必要になる。
↑ここで凝集エネルギーに類似する量として、形成エネルギー(Heat of formation)がある。凝集エネルギーは、各構成元素の原子の全エネルギー の和との差である(←原子の全エネルギーの計算の時、スピン偏極に よる効果なども考える必要がある)。これに対し形成エネルギーは、各構成元 素の単体のバルク安定構造の全エネルギー(一原子当り)を、組成比に応じて 加算した和との差から得られる量である。
何故、化学組成が同じ時には直接比較が可能かについては、上記参考論文も 踏まえて全エネルギーの定義上、ポテンシャル(または擬ポテンシャル)及び 計算条件が共通ならばお互いの全エネルギーの差(相対値、引き算)の議論が 可能だからである。←この場合、エネルギーの基準が共通だからとも 言える。既に述べたように化学組成が異なる場合は全エネルギーの直接比較は 無理で、凝集エネルギーの段階まで、つまりお互いの相対的なエネルギー差の 議論が可能になるレベルまで還元することが必要である。凝集エネルギーを求 めることによって安定性の議論が可能になる。但し、凝集エネルギーでのエネ ルギー比較の精度は、全エネルギーの直接比較より劣る。特に、LDA(局所密 度近似)では誤差が大きく、GGAによりある程度の改善を見ることがで きる。↑(まだ試作段階、11/5、2004)↑
【参考:全エネルギー内訳】
バンド計算での全エネルギーEtotの内訳は、大雑把に以下のようになる。
(式1): Etot = E_kin + E_ext + E_H + E_xc + γ_Ewald + α1Z
E_extは、ポテンシャルがノルム保存型擬ポテンシャルの場合、E_ext = E_local + E_non-localと、局所部分と非局所部分とに分かれる。α 1Z(Z:当該擬ポテンシャルの価電子数)は、擬ポテンシャル使用 時に出てくる項である。各項に関しては、J. Ihm, A. Zunger and M. L. Cohenによる論文[6]が大変参考に なる(←発散項の扱いや真空準位〔←エネルギーの基準〕など)。
【参考】平面波基底の場合、|E_kin| = |k+G|2/2を基準にして平面波数を決めるのが普通である。この時の基準(E_kinの最大値Ecut、E_kin =< Ecut)をカットオフエネルギー(エネルギーカットオフと言うこともある〔調査中〕。Cutoff energy、Energy cutoff)と言う。
【参考2】V_Hをハートリーポテンシャル、V_localを局所擬ポテン シャル、ρを電荷密度、Ωを体積として、発散に関わる項のG → 0の 極限による結果を逆空間表示で以下に示す。

limG → 0 Ω[(1/2) V_H(G)ρ(G) + V_local(G)ρ(G)] + (1/2) Σ'ν(2Z2/|Rν|)

最後の項はエバルト項で、Σ'は、Rν = 0の場合を除く ことを意味する。以上の式は以下のようになり(途中の変形は省略)、

= limG → 0[(Ω/2) 8π(Z/Ω + βG2)2 / G2 + Ω{ - 8πZ/(ΩG2) + α1 }{Z/Ω + βG2 } + (1/2) 8πZ2/(ΩG2) ] + γ_Ewald

= α1Z + γ_Ewald

を得る。(式1)は次のように変形できる。

(式2:逆空間表示)
Etot = ΣiΣk ε_i,k - 1/2ΩΣG V_H(G)ρ(G) - 1/4ΩΣG μ_xc(G)ρ(G) + γ_Ewald + α1Z

↑Ihm, Zunger and Cohenの論文(J. Phys. C: Solid State Phys., Vol. 12, 4409(1979))より。論文内式(5),(6)より、E_xc = 3/4ΩΣGμ_xc(G)ρ(G)なので、E_xc - ΩΣGμ_xc(G)ρ(G) = -1/4ΩΣGμ_xc(G)ρ(G)となる。

(式2’:別形)
式1:Etot = E_kin + E_ext + E_H + E_xc + γ_Ewald + α1Z より、

{-1/2Δ + V_eff}Ψ_ik = ε_ik Ψ_ik ← V_eff = V_ext + V_H + V_xc

<Ψ_ik|{-1/2Δ + V_eff}|Ψ_ik> = ε_ik → ΣiΣk ε_i,k = E_kin + E_ext + 2 E_H + Σ<Ψ|μ_xc|Ψ>

Etot = ΣiΣk ε_i,k - E_H + E_xc - Σ<Ψ|μ_xc|Ψ> + γ_Ewald + α1Z

E_H = 1/2ΩΣG V_H(G)ρ(G)、E_xc = ΩΣGε_xc(G)ρ(G) なので、

Etot = ΣiΣk ε_i,k - 1/2ΩΣG V_H(G)ρ(G) + ΩΣG [ε_xc(G) - μ_xc(G)]ρ(G) + γ_Ewald + α1Z


スピンを考慮した場合:ρ = ρ + ρ = Σσρσ, Σσ = ↑ + ↓)
Etot = ΣiΣk (ε_i,k + ε_i,k) - 1/2ΩΣG V_H(G)ρ(G) + ΩΣG ε_xc(G)(ρ(G) + ρ(G)) - ΩΣG μ_xc(G(G) - ΩΣG μ_xc(G(G) + γ_Ewald + α1Z

Etot = ΣσΣiΣk ε_i,kσ - 1/2ΩΣG V_H(G)ρ(G) + ΩΣG ε_xc(G)ρ(G) - ΩΣσΣG μ_xcσ(Gσ(G) + γ_Ewald + α1Z

ε_xc(G) → ε_xc(ρ), μ_xc(G) → μ_xc(ρ)、占有数は表記していない。

(式3): Etot(electron) = 2.21/rs2 - 0.916/rs + ・・・
力の計算(判 定方法)
Calculation of forces
力の計算の仕方そのものに関しては[参考文 献]を参照のこと。ここでは計算して求めた力の検証方法について簡単に 説明します。
筆者の行なっている方法は、仮想的な構造(普通、体心立方構造を考え、そ の中に2個の原子が存在する〔座標は0.0と0.5:格子の長さを1に規格化した として〕とします)を考え、平衡位置の場合(原子にかかる力は零になる)と、 少しだけ原子位置をずらした(この場合は111方向にずらす、ずらす長さは まず格子定数に対して1%でやってみる。またずらす原子は両方でも片方でも いずれでもよい)場合(この時、原子に力が働く←セルそのものの形は変えな い)とで、全エネルギーの差を求めます。そして、力×原子をずらせ た距離がこの”全エネルギーの差”と比べるのですが、実はこれでは一致しま せん。
この場合、平衡位置からずらせる過程で、力の値が実際は(零からずらせた 位置での力の値まで)変化していることを考慮しなければなりません。幸いず らせる距離が十分小さければ線形近似(調和近似)が使えるので、単純に先の 力×原子をずらした距離×0.5としてしまいます(力の変化が線形〔1次〕と 考える)。
この時、ずらす方法が111方向なので、その ことにも気を付ける必要があります。格子定数に対してx、y、z方向に1% ずらすなら、実際のずらした距離は各座標方向にずらした距離の√3倍(ルート3倍)になります。また力も普通 各座標方向毎に値が出る(この場合対称性から各方向の値は全て同じはずです) ようになっていて、これも√3倍しておく 必要があります。
従って、力×原子をずらせた距離の具体的な表式は、

ΔE(力)=3×座標方向の力×座標方向にずらせた原子の距離/2

となります。このΔE(力)と、バンド計算から求めた全エネルギーの差が 十分な精度で一致していれば良いことになります。ただ、この一致の程度の判 定は微妙な場合があります。筆者の経験によると扱う原子の種類によっては、 簡単な計算レベルでは一致を見ない場合がありました。例えば、Alでは上記仮 想的な系ではk点数に関して非常に敏感で、よい一致をみるまでは非常に多く のk点を必要としました(8点、64点では駄目で、512点までとってよう やく一致をみた。この時系は全く対称性は考慮していない)。一方、シリコン では8k点でも十分一致していました。また原子をずらす距離にも気を付ける 必要があります。ずれが大き過ぎると力の変化が線形でなくなり一致しなくな ります。逆に小さ過ぎると計算誤差が支配的になりこれも一致をみなくなりま す。
尚、格子定数の目安としては、計算し易さから5.0 a.u.程度が良いかと思い ます(但し、原子の種類〔多分重い方や、平衡格子定数がやたら大きなもの〕 によっては小さ過ぎる場合があるかもしれません。これは実際計算して試して みないと分かりません)。
(注意)この計算は、求めた力が正しく計算されているかどうかを 検証するだけのものなので常時行なう必要はありません。
ストレスの計算 (判定方法)
Calculation of stresses
ストレスも上記の力と同じようにして、その求めたストレスの値が正しく出 ているかを判定できます。ストレスは全エ ネルギーをユニットセルの歪み(ε)で微分したものです(圧力なら体積 で微分したものが対応)。
従って判定のためには、なるべく簡単でかつ必要な判定要件を(できれば全 てを)満たすような系を考えます。そのようなものとして、立方体のセルを考 えそれのどれか1方向(ここではx方向とする)のみセルを歪ませます(歪ま せる距離ε)。セルの1つの面の面積をSとし、歪ませた後に求まるその面に かかる圧力(ストレス)をσxとすると、ストレスから求まる 全エネルギーの変化は、

ΔE(ストレス)=σx×S×ε/2

となります。ここでS×ε=ΔΩ(セルの体積の変化分)となります。式を 最後で2で割っているのは、力の時と同じく歪ませていない状態ではストレス は零で、歪ませる過程においてストレスがかかっていくため、先の力の場合と 同様にして歪みが十分小さければ線形近似で良いとし、0からσx までの変化の半分として計算しているからです(=2で割る)。
このΔE(ストレス)と、セルを歪ませる前と後の全エネルギーの差とが十 分な精度で一致すれば、計算によって求めたストレスは正しく求まっていると 言えます。当然、セルの歪みは(線形近似が成り立たなければならないので、 セルの大きさつまり格子定数に対して)1%前後が良いです。大き過ぎれば線 形近似からはずれ、あまり小さいと誤差に埋もれてしまいます。またエネルギー カットオフの値にも敏感です(下の注意後半参照)。
(注意)尚、この時、y、z方向にもストレスが生じますがy、z 方向はセルを歪ませないので何の仕事もしません(全エネルギーの変化に寄与 しない)。また、この場合1方向のみ歪ませるので√2倍とか√3倍する必要 は全くないです。またストレスの値を正しく得るためには十分に沢山の基底を 用意する必要があります(ストレス関係論文 参照、特にP. Gomes, Dacosta, O. H. Nielsen and K. Kuncの論文)。こ の計算も、求めたストレスが正しく計算されているかどうかを検証するだけの ものなので常時行なう必要はありません。関連ページ:[ ストレス編](バンド計算で扱うストレスに関する各種情報)
射影演算子
Projection operator
この演算子は、バンド計算の世界でもよく見かける(擬ポテンシャルを考え るときにもお目にかかれる)。ただ、この射影演算子なるものは一体どんなも のかを説明するのは筆者には荷が重いのであるが、最近、非常によく説明して ある書籍を見つけた。それは「原子・分子の密度汎関数法」、R.G.パール、 W.ヤング著、狩野覚、関 元、吉田元二 監訳(シュプリンガー・フェアラー ク東京刊)の第2章”密度行列”の部分であり、21ページ後半から射影演算 子の説明があり、大変有用である。
仕事関数の計算
Calculation of the Work function
表面系において仕事関数は重要な物理量であり、バンド計算においても計算 されるべき重要な物理量である。
さて、バンド計算においての具体的な計算方法であるが、セルに関してはスー パーセルによるスラブモデルを考える。そして擬ポテンシャルによる全エネル ギー平面波計算(バンド計算手法の一つ)を想定し、表面垂直方向をZ軸とす る。擬ポテンシャル+平面波による電子状態計算で扱うポテンシャルには、ハー トリー項(電子間のクーロン項)、局所擬ポテンシャル項、非局所擬ポテンシャ ル項、交換相関項の4つがある。
スラブモデルにおける真空層中心付近の、これらポテンシャル項の和を真空 準位と考えることができる(真空層は十分に厚いと仮定)。但し、この時実際 に考慮するのは、ハートリー項(V_hartree(z))と局所擬ポテンシャル項 (V_local(z))のみである。非局所擬ポテンシャル項は、実空間では切断半径 より外側では急速にゼロになるので、真空層中心付近でははぼ完全にゼロになっ ている。LDAにおける交換相関項は、距離に関し て指数関数的に減衰するため真空準位には寄与しない。そもそも真空領域が十 分に厚ければ、その中心での電荷密度はゼロとみなせるので交換相関部分から の寄与はない(ρ(r) = 0で、Vxc(r) = 0は確認)。ただ実際の交換相 関項は収束が遅く、通常のスラブモデルでの真空層中心付近では無視できるほ どにゼロに近い値になっていない可能性がある(←従って、交換相関項を無視 することが本当に妥当かどうかには、場合により十分な検証が必要となる可能 性があります)。
そして、V_hartree(z) + V_local(z)の真空層中心付近の値(最大値)と、 系のフェルミエネルギーとの差が仕事関数ということとなる。V(z)(単位面積 当たりの値)はZ方向に関しての1次元ポテンシャルを意味し、この場合、X、 Y方向に関しての足し上げ(積分)を行なっておく必要がある。
本当の真空準位V_vac(∞)は、表面から無限遠方におけるポテンシャルV(∞) と言える。この時、扱うべきポテンシャルは上にもあるように、ハートリー項、 ポテンシャル項、交換相関項(の和)である。エバルト 項は、真空準位、フェルミ準位をそれぞれ同じ量だけシフトさせるだけで、 真空準位、フェルミ準位の差(=仕事関数)に影響を与えない。表面から無限 遠方では、電荷密度はゼロとみなせるので、交換相関ポテンシャル部分もゼロ となり仕事関数に寄与しない。
参考文献1:草部浩一、幾野佑一、長柄一誠、「密度汎関数法による 仕事関数の決定に関して」連載企画(3) 〜第一原理計算(応用編)〜、表 面科学、第29巻、第5号(2008年5月)、321 - 324頁
参考文献2:Zeyu Jiang, Damien West, Shengbai Zhang, "A Universal Description of Workfunction", arXiv:2209.08692.
参考ページ:遷移金属炭化物、窒化物表面関連情報ページにある[バンド計算関連+表面関連情報]
(補足)ギャップがある表面系の場合
(8/20、2006、更に少し修正)擬ポテンシャル+平面波手法 と全電子計算手法との差は、ポテンシャル部分の扱いだけである(細かい差は あるかもしれない)。ただマフィンティン 近似+スラブ近似では、そもそも格子間領域の 有効ポテンシャル部分が平らでないといけないため(*)、真空準位 に相当するものが定義出来ない。従って、マフィンティン近似の枠内では 仕事関数を求められない。仕事関数を求めるには何らかの細工を考えるか、 マフィンティン近似を越えるフルポテンシャルを使用するしかない。(←調査 中↓+助言等に深く感謝)。
↑(8/17、2006)格子間領域のポテンシャルに関しては、フルポテ ンシャルかそうではないかによって形が異なることが判明。(*)フルポテン シャルでない場合(つまりマフィンティン近似)、格子間領域での有効ポテン シャル部分(=ハートリー項+イオン部分+交換相関項)は、平らな一定値と なる。フルポテンシャルの場合、格子間領域での有効 ポテンシャルVIReff(r)は、

VIReff(r) = ΣG VIReff(G) exp(iGr)

と表現される。IR:Interstitial region(格子間領域)、eff:effective (有効)であり、上式は逆空間→実空間へのフーリエ逆変換の表式となってい る。上式で、G = 0としたのが、マフィティンポテンシャルに相当する。 結局、スラブモデルにおいて、(十分な厚さのある)真空層部分(真空領域) の中心での有効ポテンシャル中の、ハートリー項とイオン部分の和とフェルミ レベルとの差が仕事関数に相当する(←フルポテンシャルの場合。マフィンティ ン近似では求められない)。←交換相関項の扱いは、擬ポテンシャルの場合と 同じ(基本的には、これによる寄与は無いとみなす)。ただ本当にフルポテン シャルなら仕事関数がスラブ近似下で求められるかの確証はない。具体的に全 電子計算手法でこれを扱った論文等に当たる必要がある(が時間がない)。 (更に調査中)。
もう一つ別の見方をすると仕事関数は表面の構造に敏感であり、表面緩和や 表面再構成による影響を強く受ける。従って、構造最適化が比較的苦手な全電 子計算手法(←不可能と言う訳ではないが)では、実際の実験値と比較し得る 結果を出すことは難しい(←重ねて不可能と言っている訳ではない)。 Layer-KKRという表面用と思われる手法があるが詳細は不明。
磁気モーメントの計算
Calculation of the Magnetic moment
強磁性における磁気モーメントの計算は比較的単純で、磁性を考慮した計算が可能なら、収束した電子状態で の、アップスピン全電子数とダウンスピン全電子数の差が磁気モーメントに相 当する。磁気モーメントの単位は、J/T(J:ジュール、T:テスラ→エネルギー/ 磁束密度)。【関連語】ボーア磁子(単位 は、J/T)
ハーフメタリックな系の磁気モーメントは整数値(=電子数の差が 整数の意味)となる(∵ユニットセル内の全電子数は整数であり、ギャップの 空いた側の詰まったバンドの全電子数も整数のため)。逆に磁気モーメントの 値(電子数の差)が整数(除くゼロの場合)ならば、その系はハーフメタリッ クである可能性が非常に高い(強磁性で電子数差が”偶然”整数になる可能性 は極めて低い)。
難しいのは反強磁性の時で、この場合はアップスピンとダウンスピンの差は ゼロになってしまう。この場合は、各原子の周りの局所的な領域内での全電子 数から磁気モーメントを求める。ただ、この場合、どこまでをその該当する領 域とするかに任意性が残る(普通は球として、ある半径内の全電子数を積分し て求める)。(新井さん情報感謝)
特に反強磁性の場合、磁性を考えない場合(または強磁性)と比べ てユニットセルを2倍(或はそれ以上→マルチセル)必要な場合がある(必要 としない場合もある)。これは、||と||から分かると 思う(”|”は周期的境界を与える仕切り)。【関 連語】磁性空間群、ノンコリニアー (Noncollinear)、関連ページ:磁性問題への[拡張]
参考図1 〔png形式、6 kb〕:摸式的な状態密度で、強磁性、常磁性、反強磁 性、ハーフメタリックを表現したもの。強磁性、常磁性、反強磁性の各状態は 必ずしも金属的である必要はない(=ギャップが空いてもかまわない)。注: 図とウェブページ上の文章とは必ずしも整合していない。
参考図2 〔png形式、7 kb〕:↑(Up spin)、↓(Down spin)で、強磁性、フェ リ磁性、反強磁性、ノンコリニアな場合の各磁気構造を2次元的な平面上で表 現したもの(あくまで摸式的な表現であり、厳密性に欠けることに注意)。平 面を区切っている四角が最小の単位(単位胞)に相当。注:図とウェブページ 上の文章とは必ずしも整合していない。
注意:半金属(semi-metal)と、ハーフメタリック(ハーフメタル、half-metallic)は全く別物。
Noncollinear
Noncollinear (Non-collinear):ノンコリニアー
取り敢えず、以下に参考となる文献を示します(5/24、2018、綴り[colinear ⇒ collinear]の間違いを修正)。
参考文献1:物性研究、第73巻、第2号、328頁より(199 9、物性若手夏の学校テキスト掲載号)、「相対論的バンド理論による電子状 態と磁性」、山上浩志
参考文献2:H. Yamagami, Phys. Rev. B61, 6246(2000)
参考文献3:T. Oda, A. Pasquarello and R. Car, Phys. Rev. Lett., 80, 3622(1998)
参考文献4:小田竜樹、「ノンコリニアー磁性の第一原理分子動力 学と液体酸素のシミュレーション」、日本物理学会誌、第60巻、第1号、3 5頁(2005)などが大変参考になります。
参考ソフトの一例:WIENncm: a non-collinear magnetism version of WIEN2k(詳細は、当該ページ参照)
現在、更に詳細を調査中。
ジェリウムモデル
Jellium model
ジェリウム近似、ジェリウム模型とも言う。イオン核(芯)の部分からの寄 与を、一様な正電荷(そのためジェリウムと言う)として考えてしまうモデル。 いろいろな場面で使用されるが、例えば電荷を帯びた不純物や空孔を扱う場合、 そのままでは系は全電荷が中性でなくなる。中性でないと周期系ではエバルト 項が発散してしまう。それを中性にするためにジェリウムを用いる。この時、 不純物などが正に帯電した場合は、負の電荷のジェリウムを考える。また表面 系において、スラブ近似ではなく表面をより現実的 な半無限系として扱う手法では、表面から数層分は実際の原子層を用い、それ より基盤下側をジェリウムとして、先の原子層と接続して扱う場合などがある。 【関連語】電子ガス(電子気体)、フェル ミガス
(計算例)G. S. Welsh and J. F. Annett, Phys. Rev. B19, 13921(1994)の第二節、第三節:表面系においてジェ リウムモデルを扱っている。
参考文献:A. E. Wright and N. A. Modine, Phys. Rev. B74, 235209(2006) ← 二つの方法、Uniform Background Charge法 (UBC)とLocal-Moment Counter Charge法 (LMCC)についての論文。前 者のUBCが、上記ジェリウム(=一様な背景電荷密度)に相当。
双極子モーメントの計算
Calculation of the dipole moment[ 関連ページ]
通常のスーパーセルスラ ブ近似を想定すると、スラブ部分の中心から真空層の中心までの積分(μ = ΣZiRi + ∫zρ(r)dr)によって計算される。μは 双極子モーメント、Ziは原子の価電子数、Riは原子の 位置、ρ(r)は電子の電荷密度。式の右辺第一項が、 原子のイオン部分(擬ポテンシャル使用時は価電子部分のみ)からの寄与、第 二項が電子からの寄与である。
この計算にって得られる値は、スラブ部分や真空層の厚さの影響を受け易く、 また絶対値としてはあまり意味を持たない(相対値に意味がある)。またバル クでは、この方法で双極子モーメント(分極)の計算は出来ない(ベリー位相)。
参考文献:Page 296, G. Kresse and J. Hafner, Surface Science 459, 287(2000).
第一原理バンド計算と実験との距離
Distance between first-principles calculations and experiments
これは実質上、雑誌「表面科学」、第28巻、第3号(2007年3月)、特集”第一原理計算”にある、筆者記事の題目「(第一原理)バンド計算と実験との距離」(PDFファイルがダウンロード〔JSTのJ-STAGE〕可能)とほぼ同じものであり、その記事内容と深く関わる。筆者は、その溝は”深い”と感じているが、それは研究者個々で大きく異なるものと思われる。勿論、実験、理論双方で、”溝”(←それを感じた時)を埋めるために努力することは大事である。【関連語】合う(=計算結果と実験結果が”合う”ということ)
関連ページ:(実験)研究者のための電子状態計算法入門
計算結果と実験結果が”合う”ということ
Agreement between first-principles(theoretical) and experimental results
”合う”という用語は、実はいろいろな曖昧さを含んでいる可能性がある。 一体何をもって”合う”と定義する(される)のかは大変重要で難しい問題で ある。”合う”と言っても定量的に合うことが求められる場合、定性的に合え ば良い場合など(いろいろな状況、条件下で)多様であり、定量的に合う場合 も、その程度は千差万別と言える。また比較すべき対象がどのような物理量で あるか、どのような理論、実験手法で得られたものであるかによっても、”合 い”方は異なるし、許容すべき値の範囲も違ってくる。また研究者個々によっ ても、”合う”ということの意味合いは微妙に(或は、全く)異なる。
関連記事:雑誌「表面科学」、第28巻、第3号(2007年3月)、特集” 第一原理計算”の各記事
関連ページ:(実験)研究者のための電子状態計算法入門

実践編[先頭]

The FHImd Package
The FHImd Program Package]:ドイツのFritz-Haber-Institute(Max-Planck研)のM. Scheffler先生のところの第一原理電子状態(分子動力学)計算パッケージ。詳細は上記リンク先参照の事。
現在は、FHI98md(8/29以降、2023、事実上アクセス不能を確認)となっています(岡野さん情報感謝)。詳細(ライセンス、ダウンロード、使用方法等)は、上記ページを参照して下さい。擬ポテンシャルに関するfhi98PPのページもあり。
(2/5、1998)FHI96mdに関しての詳しい解説論文があります。それは、M. Bockstedte, A. Kley, J. Neugebauer and M. Scheffler, ComputerPhysics Communications 107, 187(1998)です。
同じFHIにあるパッケージ:FHI-AIMS(局在基底を使った全電子手法。詳細は当該案内ページ参照)
参考文献:Joscha Hekele, Peter Kratzer, arXiv:2008.08845[Real-time TDDFT within FHI-aims]
参考文献2:Volker Blum, Mariana Rossi, Sebastian Kokott, Matthias Scheffler, arXiv:2208.12335[FHI-aims Code][All-electron][ab initio materials simulation][Towards the exascale]
WIEN2k
[WIEN2k](WIEN95(97)):ウィーンのK. Schwarz先生等によるFLAPW法のパッケージ。正式リリース(オンライン上での注文が可能になる:詳細は上記ページを参照)を確認。(L)APW+lo法を採用(新井さん情報感謝)。詳細は当該ページの説明等をご参照下さい。1000ライセンス達成を確認(8/15、2006)。2000ライセンス達成を確認(6/28、2012)。3000ライセンスを確認(6/7、2018)。
参考文献1:Oleg Rubel, Peter Blaha, arXiv:2112.15195[Length-gauge optical matrix elements]
参考文献2:P. Blaha, K.Schwarz, F. Tran, R. Laskowski, G. K. H. Madsen and L. D. Marks, J. Chem. Phys. 152, 074101 (2020)[WIEN2k][APW+lo program][Calculating the properties of solids]
27th WIEN2k Workshop、4月8日〜4月19日(2024)、開催地:ICTP Trieste(伊)、詳細は案内ページ参照[終了]。
FPLO
[FPLO]: Full-potential local-orbital minimum-basis band-structure scheme
局在基底を使ったフルポテンシャルバンド計算パッケージ。
入手方法、ライセンス等の詳細は、上記ページをご参照下さい(松嶋先生情報感謝)。
関連サイト:IFW-[Institute] for Theoretical Solid State Physics
FLEUR (G-FLEUR)
[FLEUR](*):FLAPW法のコードに関してのサイト。S. Blügel先生等が関わっています(日本の浅田先生〔静岡大学〕や、石田先生〔日本大学〕も協力者として関わっています)。入手方法、ライセンス等の詳細は当該ページをご参照下さい(現在、調査中)。
参考文献:Christian-Roman Gerhorst, Alexander Neukirchen, Daniel A. Klüppelberg, Gustav Bihlmayer, Markus Betzinger, Gregor Michalicek, Daniel Wortmann, Stefan Blügel, "Phonons from Density-Functional Perturbation Theory using the All-Electron Full-Potential Linearized Augmented Plane-Wave Method FLEUR", arXiv:2309.14799.
関連サイト:[juDFT](*)(FLEUR、juRS、KKRnanoなどの各種コードあり)
flair
[flair]:FLAPW法のコードに関してのサイト。M. Weinert先生等が 関わっています。入手方法、ライセンス等の詳細は当該ページをご参照下さい (現在、調査中)。
CASTEP,CETEP
[CASTEP,CETEP]:英国、ケンブリッジ大学のV. Heine先生、M. C. Payne先生などが開発した、第一原理分子動力学計算法のパッケージ。Quantum and Catalysis Software(商用、quantum-and-catalysis-softwareのページ)に情報あり(扱っている会社は、”accelrys”〔アクセルリス株式会社:日本法人〕→現在は、BIOVIA)。詳細は上記ウェブページを参照して欲しい。またこの商用版のソースは非公開(バイナリのみの配布)である。
CASTEP/CETEP関連ウェブサイト、ページ:[CASTEP/CETEP][UK Car-Parrinello(UKCP)]
関連ページ:C2x(←参考論文:MJ Rutter, "C2x: a tool for visualisation and input preparation for Castep and other electronic structure codes", arXiv:1712.06640)
VASP/VAMP
[VASP/VAMP](*):VASP = Vienna Ab-initio Simulation Package
オーストリアのJ. Hafner先生、G. Kresse先生などが開発した第一原理分子 動力学計算のパッケージ。並列計算にも対応。詳細は上記リンク先参照。
[Materials Design]ペー ジも参照のこと。
(11/30、1998)記述に大きな間違いがあるとご指摘を受けました (申し訳ありませんでした、リンク許可感謝です )。
本ソフトは、以前書いていたような、弟子入りの必要は全くありません。既 に、VASPは70以上の世界中の場所で利用されています。その場合、ライセン ス契約は必要で、これによりソースコード、ウルトラソフト擬ポテンシャルの データベース、マニュアルが利用できます。
CAMP-Atami
CAMP-Atamiのある[ところ](← 日本コンピューター化学会):日本化学プログラム交換機構と化学ソフトウェ ア学会が2002年1月に合併。
非常に早い時期から日本(国産)で、一般に対し本当の意味で公開、配布している第一原理分子動力学計算のパッケージ。詳細は固体物理、第29巻、No.12(1994)または上記リンク先を参照。Camp project [ページ](7/4以降、2019、アクセス不能を確認)。
関連情報:地球シミュレーターセンターの「Annual Report 2004」の第4章、7、大西先生のレポートにCAMP-Atamiに関しての言及あり(12/12、2005)。
JEEP Project
F. Gygi先生のサイトにある、電子状態計算プログラム(三上先生、情報感謝)。プログラムは、擬ポテンシャル+平面波形式(IBM,DEC-alpha,SGI,NEC-SX4,Cray用がある、5/27、1998現在)の配布ですが、ソースはC/C++で書かれています。
関連2:GP code, QBox
ガウシアン公式ページ
[Gaussian]:(ページ大幅更新)量子化 学計算分野で大変有名な、ガウシアン(現在のバージョンは、Gaussian 03 → Gaussian 09 → Gaussian 16。←購入等可能〔"available now"〕:有料。新バージョン、 Gaussian 16のRelease Notesのペー ジ)の公式なホームページ。価格、ライセンス、使用方法等詳細は 上記ウェブサイト参照。PC用のガウシアン(Gaussianのウィンドウ版)も販 売されている(上記サイト参照)。
Gaussian Workshops
Online Workshop、2月25日(2022)、開催地:オンライン開催。詳細は案内ページ参照[終了]。
GAMESS Home Page
[GAMESS]: The General Atomic and Molecular Electronic Structure System.
量子化学計算パッケージ(GAMESS)のページ。入手方法等、詳細は上記サイ ト参照(川本さん、情報感謝)。
尚、発音は”ガメス”ではなく、”ジェムス”、”ゲイムズ”(gameの複数 形としての読み←米語的:これも有力)、”ゲイモス”(完全には発音をカタ カナで表現しきれないのですが、こんな感じです)といくつかの呼び方(聞こ え方)の可能性の中で、どうも”ゲイモス”が本命のようです(地域によって はそうでもない模様)。←どうも”ゲイムス”(ゲイムズではない)が正しい 模様(5/30、2006)。でも”ガメス”と言う人も多いらしい。
関連ページ:[The PC GAMESS]、[GAMESS-UK](6/25以降、2021、アクセス不能を確認)(CFS)
その他の量子化学系コード
[MPQC][DALTON][PSI4]など(他にも多数存在)。
関連ページ:[Basis Set Exchange]
関連ページ2:[TeraChem](参考文献:arXiv:2406.14920)(PetaChemサイト上のGPU対応ソフトウェア。詳細は案内ページ参照)
The CCP5 Program Library Page
CCP5: A LIBRARY OF SOFTWARE ON MOLECULAR DYNAMICS, MONTE CARLO, LATTICE STATICS AND LATTICE DYNAMICS
分子動力学、モンテカルロ、格子力学等に関してのソフトウェアライブラリ。 ソフト数が豊富。詳細は、当該ウェブサイト上の説明、ドキュメント等を参照 下さい。他にも、CCP1からCCP14まである(詳細は、上記ページから辿って欲 しい)。
関連ページ:CECAMWorkshopsSchools情報等のページあり(2023年の情報あり)。
バンド構造等データベース
Electronic Structures Database(5/21以降、2020、事実上アクセス不能を確認〔←"The NRL Tight-Binding Codes"へジャンプする〕。3/7、2019、アドレス変更を確認。2/16、2018、復活しているのを確認。gmu.eduのD. A. Papaconstantopoulos先生による)
結晶格子構造データベース
"http://cst-www.nrl.navy.mil/"にあった。大変内容が充実していました。
筆者も大変重宝していました。他の対称性、群論関連の[サイト]。
復活(再興)を確認(2/16、2018)Crystal Lattice Structures Database(2/3以降、2022、アクセス不能を確認。univie.ac.at/michael.leitnerによるミラーページ)
バンド構造プロジェクト
[Electronic Structures Project](ESP):ウプサラ大学のグループによる元素、化合物等のバンド構造等に関するデータベース(を構築するプロジェクト)。計算手法は、FP-LMTO(LDA)など。フェルミ面データの付加を確認(5/18、2012)
関連文献:arXiv:0808.2125(C. Ortiz, O.Eriksson, M. Klintenberg, "Data mining and accelerated electronic structure theory as a tool in the search for new functional materials", arXiv:0808.2125)
↑C. Oritz, O. Eriksson and M. Klintenberg, Computational Materials Science, Vol. 44, 1042-1049(2009).
関連文献2: arXiv:1109.6935(M. Klintenberg and O. Eriksson, "Possible high-temperature superconductors predicted from electronic structure and data-filtering algorithms", arXiv:1109.6935)
関連文献3:arXiv:1007.4838(M. Klintenberg, "The search for strong topological insulators", arXiv:1007.4838)
株式会社Transition State Technology
[TS TECHNOLOGY]:山口大学 分子設計研究室(堀研究室)によるベンチャー企業。物性解析計算サービス 「クイックオーダー」などがある。詳細は、当該サイト上の説明ページ等を参 照のこと。
国内で製品として(商用) のバンド計算関連パッケージ等を扱っていると思われるところ
一応、筆者の把握しているものを挙げておく。
バンド計算関連パッケージ等取り扱い業者
株式会社 アクセルリス(Cerius2、日本法人あり)→現在は、BIOVIA
株式会社 ケイ・ジー・ティ 計算化学グループ
株式会社 菱化システム 科学技術システム事業部(当該事業部の扱っていたソフトウェアは、株式会社モルシスへ事業移管[4/13、2017、確認])
株式会社 みずほ情報総研(Material Prospector)
株式会社 富士通九州システムエンジニアリング(他に富士通Fortran&C Packageを開発、販売)
などがある(勿論、全てを把握、網羅できている訳ではありません)。
MedeA
[Materials Design]
本パッケージは[三菱ケミカルシステム](旧菱化システム)が扱っていた(現在[4/13、2017段階]は、株式会社モルシスが扱っている)。ライセンス、価格等の詳細は株式会社モルシスページ参照のこと (他の扱っているところは把握出来ていない。←調査中)。
物質・材料研究機構、共用 基盤部門、データベースステーションの電子構造計算データベース
Computational Electronic Structure Database (CompES-X):電子構造 計算データベースの[ページ ]:データベースステーション〔JSTから移行〕にあるページ。利用に はユーザー登録が必要。ブラウザのバージョンによっては閲覧不可能の場合あ り。バンド計算には旧JRCAT理論グループのFLAPWプログラムが使われています。
遷移金属とその合金に関しての100種類以上の系に関する、バンド計算に よって得られたバンド構造、状態密度、電荷密度、全エネルギー等の詳細なデー タが閲覧可能になっています。大変有用。
参考文献:雑誌「金属」、第81巻、第12号 (2011年12月号)の特集「材料データベースが支える研究開発」に関連 記事あり。
関連ページ:DICE(NIMS)、関連ページ2:MDR(NIMS)
Basic Reference Data for Electronic Structure Calculations
Basic Reference Data for Electronic Structure Calculations
原子の電子構造計算の詳細 なデータベース、電子構造計算に関してのドキュメントも豊富。
関連[サイ ト](Atomic Reference Data for Electronic Structure Calculations)。
原子の全エネルギー、固有値の[ ページ](周期表形式)もあり。
TB-LMTO-ASA
TB-LMTO-ASA関連[ページ ](The STUTTGART TB-LMTO-ASA program)を発見(O. Jepsen先生、O. K. Andersen[先生](←必見)による詳細なドキュメントのあるページ。詳細 は上記ウェブページ参照。
FP-LMTO
FP-LMTO: S. Y. Savrasov先生の[ページ](小谷先生情報感謝)。
MINDLab。関連文献:LMTARTについての[論文](arXive.org、プレプリント)。詳細は当該各ページの説明をご参照下さい。
DoD-Planewave
DoD-Parallel Tight-Binding Molecular Dynamics
関連:libAtoms
復活:The NRL Tight-Binding Codes(2/16、2018、確認。gmu.eduによるページ)
The DFTB website
[dftb.org]
DFTB+
[DFTB+](*)(Density Functional based Tight Binding): DFTB+のサイト。ライセンス、入手方法等の詳細は、案内ページ参照。
参考文献:B. Hourahine, et al., J. Chem. Phys., 152, 124101 (2020).
ADF
[ADF][BAND(Periodic DFT)][DFTB]: ADF® molecular modelinga suiteのページ(Science Computing & Modelling)。ライセンス、入手方法 等の詳細は、案内ページ参照(情報感謝)。
TB-SiM
[TB-SiM]:TB-SiM codeのサイト。ライセンス、入手方法等の詳細は、案内ページ参照。
xTB
[xTB]:xTB(Python API for the extended tight binding program)のサイト。ライセンス、入手方法等の詳細は、案内ページ参照。
PHASE等
戦略的基盤ソフトウェアの開発プロジェクト(文部科学省ITプログラム)の”ナノシミュレーション”のところにあるプログラムパッケージ群。利用方法、ライセンス等に関しての詳細は当該ページを参照のこと。
第一原理擬ポテンシャルバンド計算ソフト:PHASE。FLAPW法による第一原理全電子バンド計算ソフト:ABCAPなどが利用可能。[ポータルサイト]
第20回PHASE/0利用講習会:基礎編、8月30日(2024)、開催地:東京大学生産技術研究所 As棟 中セミナー室4(As311-312室)(目黒区、東京)。詳細は案内ページ参照[終了]。
NIMSナノシミュレーションワークショップ 2023、12月6日(2023)、開催地:学術総合センター(竹橋)2F 一橋大学 一橋講堂中会議場(千代田区、東京)(オンサイト+オンライン)。詳細は案内ページ参照[終了]。
関連サイト:[アドバンスソフト株式会社]←ナノシミュレーションコードパッケージ(Advance/PHASE)を販売中。
参考文献:赤木和人、「実例紹介:第一原理計算パッケージを使っ てみる」、表面科学、第28巻、第3号(2007年3月)、160〜163 頁、PHASEに関しての紹介記事あり。
関連1RSS21(古いバージョ ンのブラウザでは閲覧困難な場合あり。革新的シミュレーションソフトウェア の研究開発)
関連2:NPO法人 物質材料科学ソフトウェア研究会
SANZEN
[SANZEN]:(2023年3月末に閉鎖、アクセス不能)筆者の所属するグループで企図している公開プログラムライブラリ(ルーチン、データなど)群(計画じっくりと進行中、一部実行開始中)。現在、一部について公開中。正式な名称決定(確定を確認:6/28、2006)。
【公開プログラム】[asse](新井氏作成。C++によるFPMDプログラム)
【準公開データ】[NCPS2K] (配布はCD-Rによる。←配布中)
↑より詳細な情報(ライセンス、入手方法、使用方法等)はそれぞれ当該す るページをご参照下さい。
O(N) packages
[http://www.openmx-square.org/](OpenMX):CMSI神戸拠点〔東大〕の尾崎さん(産総研、計算科学研究部門から異動→北陸先端科学技術大学院大学へ異動→CMSI神戸拠点〔東大〕へ異動)のところにあるO(N)法のパッケージ(1.リカージョン法〔ABRED〕、2.半経験的TB法〔B-BOP〕)などのパッケージ。GNU-GPL準拠。使用方法、ライセンス等の詳細は、上記ページをご参照下さい。
ELSES
[http://www.elses.jp/]: Extra Large Scale Electronic Strucutre Calculation(超大規模電子構造計算研究 会)にあるプログラムコード(オーダーN計算)。研究会入会、コードの利用 等は、案内ページをご参照下さい。
OUFP-CMD
Osaka University Free Package for Computational Materials Design(OUFP-CMD):KANSAI-94(99)(03)(04)、OSAKA-2000、 MACHIKANEYAMA-2000、これらは、OUFP-CMDに属していることを確認(7/23、 2002)。
関連文献:「計算機マテリアルデザイン入門」、笠井編、赤井編、 吉田編、大阪大学出版会刊行。
KANSAI-99(03)(04)
詳細は調査中です。 論文(S. Tanaka and H. Harima, Journal of the Physical Society of Japan, Vol. 67, No. 8, 2594(1998))中で発見し ました(この時点では、KANSAI-94)。 TSPACEと連動している模様。現在の最新バージョンは、KANSAI-04と判明 (4/24、2006確認)〔田中先生情報感謝〕 。調査続行中。
OSAKA-2000
大阪大学、産業科学研究所、量子物性研究室(旧吉田研)の白井光雲先生のペー[]にあるバンド計算パッケー[](第一原理擬ポテンシャルによる電子状態計算)。対称性の計算部分はTSPACEを使用している。詳細は当該ページを参照。現在、マニュアル閲覧(ダウンロードも可能)、ソースプログラムダウンロード可能。
version 2.0、version 2002_nanoも入手可能(ユーザー登録が必要:詳細は当該ページ説明をご参照下さい)。
machikaneyama2000
大阪大学、赤井先生(異動)のところにある、KKR-CPA法のフルパッケージ(9/30、2002、[サイト]公開〔英語版〕を確認)。→[サイト](*)(日本語版)が新しくなる(5/26、2010→アドレス変更を確認:4/11、2017)。
使用方法に関しての詳細な説明は当該ページのマニュアル等(ドキュメント)を参照。
通常の規則合金、不純物、一体グリーン関数の計算に加え、任意成分数の多元不規則、部分不規則系の計算も可能とのこと(5/2、2001、調査中)。 使用条件に関しては、当該ページの説明をご参照下さい。
関連ページ:[XtalEdit](結晶モデリングツール、詳細は当該ページをご参照下さい)
関連ページ2:[KKR-GF.ORG](*)
ecalj
鳥取大学の小谷先生(阪大の赤井研から異動)が開発中の、ecaljコード(Full-potential PMT法+QSGW法)に関するページ。バンド計算プログラム部分には、Mark van Schilfgaarde先生の寄与あり。更に、FLAPWへの拡張や、GW近似(F. Aryasetiawan先生による)部分の拡張の試みなどが進行中である(調査中)。ライセンス等の詳細は案内ページ参照。
Naniwa series
大阪大学の笠井先生、中西先生等によるプログラム計算コード。詳細は 案内[ ページ](詳細調査中)等をご参照下さい。CMDとも関連しています(調査 中)。
TAPP
TAPP: Tokyo Ab initio Program Package
東京大学、塚田先生(現在は東北大学)のグループによるバンド計算関連パッケージ(詳細は以下参照)。
xTAPPに関しては、[公式サイト](東大)、[MateriApps](物質科学シミュレーションのポータルサイト、ISSP)参照。
Calculation Platform(計算物性データベース計算機能:試験公開)
JSTの”Database System for Electronic Structures ”のサイトにあったが既に閉鎖(4/27、2003)。
ナノテク・材料
みずほ情報総研のサイトにあるページ]。バンド計算関連コードについての情報あり。詳細は、当該ページをご参照下さい(10/1、2004付けで富士総研などが合併→みずほ情報総研となる。→現在は、みずほリサーチ&テクノロジーズ)。
予約
国内に準備中、計画中のもの(各数件を把握)あり。事情によりまだ紹介できません。取り敢えず、場所のみ予約しておきます(3/15、2013、現在予約継続中)。
(参考)MateriApps(物質科学シミュレーションのポータルサイト、ISSP)(物質科学シミュレーションのポータルサイト〔のアドレス〕、CMSI→ISSPへ自動転送)[MateriApps Live]
参考文献: Y. Motoyama, K. Yoshimi, T. Kato, S. Todo, "MateriApps LIVE! and MateriApps Installer: Environment for starting and scaling up materials science simulations", arXiv:2205.01991.
↑補足情報↑
雑誌「固体物理」<計算機ナノマテリアルデザイン>特集号(Vol. 39, No. 11, 2004)、小口先生による”第一原理計算手法の開発と公開”(184 頁)に、日本国内の第一原理計算手法パッケージについての貴重かつ有用な情 報あり(必見)。←それ以外にも本特集号には、 重要な記事が多数ある。
CPMD
[CPMD]:Car-Parrinello Molecular Dynamicsのページ(濱田さん〔阪大→東北大→NIMS→阪大〕情報感謝)←ページからダウンロードできるマニュアルは非常に充実している。使用条件、マニュアル、ライセンス等に関しては当該ページをご参照下さい。
CP2K
[CP2K]:CPMDの関連版(2000年版)と言える。詳細は当該ページの説明を参照のこと。
参考文献1:Thomas D. Kühne, et al., "CP2K: An Electronic Structure and Molecular Dynamics Software Package -- Quickstep: Efficient and Accurate Electronic Structure Calculations", arXiv:2003.03868 [J. Chem. Phys. 152, 194103 (2020)].
参考文献2:Thomas D. Kühne, Christian Plessl, Robert Schade, Ole Schütt, "CP2K on the road to exascale", arXiv:2205.14741.
参考文献3:Christian S. Ahart, Sergey Chulkov, Clotilde S. Cucinotta, "Enabling Ab-Initio Molecular Dynamics under Bias: The CP2K+SMEAGOL Interface for Integrating Density Functional Theory and Non-Equilibrium Green Functions", arXiv:2406.11494.
参考文献4:Ziwei Chai, Rutong Si, Gilberto Teobaldi, David D. O#39;Regan, Li-Min Liu, "Minimum tracking linear response Hubbard and Hund corrected Density Functional Theory in CP2K", arXiv:2407.13256.
DACAPO
O. H. Nielsen先生のところにあるバンド計算プログラム(Parallel Car-Parrinello法、三上先生情報感謝)。 X-Window上でのGUIからの操作が可能。
関連ウェブサイト:[Nielsen先生][CAMD]
[DACAPO等, GPAW(CAMd)][ASE][CMR]、詳細(入手、利用方法、内容など)は、上記ページ等を参照のこと。
参考文献:J. J. Mortensen, et al., "GPAW: open Python package for electronic-structure calculations", arXiv:2310.14776.
JDFTx(*)
[JDFTx][JDFTx(wiki)]: T. A. Arias先生によるバンド計算プログラム(5/18、2012、DFT++→ JDFTxを確認。石井(史)先生情報感謝)。詳 細、当該ウェブページ参照。 参考文献:R. Sundararaman, K. Letchworth-Weaver, K. A. Schwarz, D. Gunceler, Y. Ozhabes, T. A. Arias, "JDFTx: software for joint density-functional theory", arXiv:1708.03621.
ABINIT
[ABINIT]:(UCLにあった。→ 現在は独自ドメイン:abinit.org)バンド計算パッケージ。多くの種類 (Troullier-Martin型、Goedecker-Teter-Hutter型、Teter先生の"extended norm-conserving"型、FHI型〔LDA型〕などや、FHI型、 Hartwigsen-Goedecker-Hutter型〔GGA型〕、PAW Atomic Dataなど)に関して の、擬ポテンシャルの(数値)データ、有用なツール等あり。
使用条件、方法などの詳細は当該ページのドキュメント、FAQ等を参照下 さい。
参考文献1:X. Gonze, et al, Computational Materials Science 25, 478(2002)
参考文献2:三上氏による紹介記事、「固体物理」3月号(2003年)、41頁
参考文献3:三上氏による記事(”会議だより”)、「固体物理」12月号(2005年)、47頁
参考文献4:赤木和人、「実例紹介:第一原理計算パッケージを使ってみる」、表面科学、第28巻、第3号(2007年3月)、160〜163頁、ABINITに関しての紹介記事あり。
参考文献5:A. H. Romero, et al, J. Chem. Phys. 152, 124102(2020)
参考文献6:L. MacEnulty, M. Giantomassi, B. Amadon, G.-M. Rignanese, D. D. O'Regan, arXiv:2404.06284[Facilities and practices][Linear response Hubbard parameters U and J]
ASW
[ASW法 ]:Augmented Spherical Wave method
V. Eyert先生の[サイト]にある、 ASWプログラムパッケージ。MedeAのElectrAの ことで(も)あった(調査中)。
使用条件、方法などの詳細は当該ページなどにあるドキュメント等を参照下 さい。
Spinor
[Spinor]: The Spinor projectのページ(Theurich先生による)へ行ける。擬ポテンシャル+ 平面波(コードはANSI Cで記述)でスピン軌道相互作用やNon-collinearな問題 が扱えるらしい(調査中)。使用条件、方法、著作権などの詳細は当該ページ にあるドキュメント等を参照下さい。
FINGER
(参考文献)Appendix, S. Poykko, M. J. Puska and R. M. Nieminen, Phys. Rev. B57, 12174(1998)
因みに、FINGERはFINnish General Electron Relaxator codeの略。(三上先生情報感謝)
PARSEC
[PARSEC][Real-Space]:Pseudopotential Algorithm for Real-Space Electronic Calculations
J. R. Chelikowsky先生のところにある実空間法による電子状態計算のコード、PARSECに関してのページ。入手方法、使用方法、条件、ライセンス等は当該ページをご参照下さい。
RMG
[RMG]: A REAL SPACE MULTIGRID DFT CODE
入手方法、使用方法、条件、ライセンス等は当該ページをご参照下さい。
Tutorial for the Projector Augmented Wave Method
[Tutorial] for the Projector Augmented Wave Method
PAW法に関しての(詳細な)チュートリアルのページ。HTML 版(Version 2.0)もある。UCLAのWun C. Chiou, Jr先生によるサイト。 ドキュメント、詳細(含む著作権等)は、当該ページを参照下さい。
PAW
[ATOMPAW]: Projector Augmented Wave Method
N. Holtzwarth先生 のところにあるページ。PAW法のソースコードがダウンロード可能。ドキュ メント、使用方法等の詳細(含む著作権等)は、当該ページを参照下さい。
関連ページ:[Socorro(バンド計算コード〔含むPAW〕、”Socorro”のページ)][Sandia National LaboratoriesのDFTページ]
QUANTUMESPRESSO(PWSCF and PHONON)
[Quantum ESPRESSO(PWSCF and PHONON)]:(以前は)SISSAグループのサイトにあったバンド計算パッケージ(←調査中)。PHONONは線形応答によるPWPPパッケージ。S. Baroni先生、A. Dal Corso先生、S. de Gironcoli先生、P. Giannozzi先生等による。GPL準拠の模様(詳細調査中)。使用方法等の詳細は、上記当該ページを参照のこと。
Quloud - Quantum ESPRESSOセミナー【概要】第一原理電子状態計算ソフト「Quantum ESPRESSO」を活用した材料シミュレーション、1月25日(2024)、開催地:ビデオ会議(オンライン開催)。詳細は案内ページ参照[終了]。
第2回「富岳」を用いたQuantum ESPRESSO-WHEEL入門講習会(ハンズオン)、2月22日(2024)、開催地:web会議システム Zoomを使用したWeb講習会。詳細は案内ページ参照[終了]。
参考文献1:赤木和人、「実例紹介:第一原理計算パッケージを使っ てみる」、表面科学、第28巻、第3号(2007年3月)、160〜163 頁、PWSCFに関しての紹介記事あり。
参考文献2:P. Giannozzi, et al., "Quantum ESPRESSO: a modular and open-source software project for quantum simulations of materials", arXiv:0906.2569[J. Phys.: Condens. Matter 21 (2009) 395502]
参考文献3:P. Giannozzi, et al., "Advanced capabilities for materials modelling with Quantum ESPRESSO", arXiv:1709.10010[P. Giannozzi, et al., J. Phys.: Condens. Matter 29 (2017) 465901]
参考文献4:L. Rademaker, "A Practical Introduction to Density Functional Theory", arXiv:2011.09888
SIESTA
[SIESTA] Projectのページ。SIESTA:Spanish Initiative for Electronic Simulations with Thousands of Atomsの略。LCAO基底を使った、第一原理分子動力学手法プログラム。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと。
参考文献1:Alberto Garcia, et al., J. Chem. Phys. 152, 204108 (2020) [arXiv:2006.01270][Recent development][application] 参考文献2:R. Reho, N. Wittemeier, A. H. Kole, P. Ordejon, Z. Zanolli, arXiv:2406.02022[Density functional Bogoliubov-de Gennes theory][Superconductor][Implemented in the SIESTA code]
Conquest
[Conquest] Projectのページ。 D. Bowler先生、M. Gillan先生、宮崎先生(NIMS)等による、O(N) DFT code。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと。
参考文献:D. R. Bowler, R. Choudhury, M. J. Gillan and T. Miyazaki, "Recent progress with large-scale ab initio calculations: the CONQUEST code", physica status solidi (b), 243, 989(2006)
参考文献2:D. R. Bowler, J. S. Baker, J. T. L. Poulton, S. Y. Mujahed, J. Lin, S. Yadav, Z. Raza, T. Miyazaki, arXiv:1908.02707[Highly accurate local basis sets][Large-scale DFT calculation][CONQUEST][Jpn. J. Appl. Phys. 58, 100503 (2019)]
参考文献3:A. Nakata, J. Baker, S. Mujahed, J. T. L. Poulton, S. Arapan, J. Lin, Z. Raza, S. Yadav, L. Truflandier, T. Miyazaki, D. R. Bowler, arXiv:2002.07704[Large scale and linear scaling DFT][CONQUEST code][J. Chem. Phys. 152, 164112 (2020)]
参考文献4:D. R. Bowler, T. Miyazaki, A. Nakata, L. Truflandier, arXiv:2205.08941[CONQUEST code][Large scale][Linear scaling DFT]
Research Highlights (Vol. 21): "Supercomputing in materials science: First-principles simulations of large molecules"
BigDFT
[BigDFT]:"Using wavelets to solve Schrödinger equation in the DFT framework"を基にしたコード(←Linear scaling関係)のページ。ABINITが関係している(調査中)。詳細については当該ページをご参照下さい。
のオーダーNコード:[ONETEP]
TranSIESTA-C → Atomistix ToolKit (ATK) → QuantumATK
McDCal、Siesta、TranSiestaの3つのソフトが元となって開発された商用コード(C++言語で書かれている)。atomistix社(atomistix社は、2008年9月に諸般の事情で倒産していたことが判明。事業〔名称〕は、QuantumWise社からsynopsys[*]となっている)が開発し、取り扱っていた。現在、日本ではサイバネットシステム株式会社などが扱っている(←2011年8月31日に取扱いを終了。2011年9月1日から、QuantumWise社日本法人が取扱っている。→ 2018年12月20日現在は、synopsysとなっている)。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ等をご参照下さい。
SPRKKR,xband
[SPRKKR,xband(*)](←ソフトウェアのページ参照):ミュンヘン大学の、H. Ebert先生のサイト。ここに、SPRKKR法(Munich SPRKKR band structure program package, disorderな3次元周期系にも対応→CPA)、SPR-TB-KKR及び、グラフィカルユーザーインターフェースXBAND(xband 2.1)のページがある。入手方法、使用方法、登録及びライセンス等の詳細は当該各ページを参照のこと。参考文献:SPR-KKR-CPAによる計算例(A. Vernes, H. Ebert and J. Banhart, Phys. Rev. B68, 134404(2003))
CASINO
[CASINO]:ケンブリッジ大学、キャベンディッシュ研究所のR. J. Needs先生、M. Towler先生等による、量子モンテカルロ法によって電子状態の計算を行なうコードのページ。ライセンスや取り扱いに関しての詳細は、当該ページをご参照下さい。
TurboRVB
[TurboRVB]: S. Sorella先生等によるQMCコード。詳細は当該ページ参照(詳細調査中)。
参考文献:K. Nakano, C. Attaccalite, M. Barborini, L. Capriotti, M. Casula, E. Coccia, M. Dagrada, C. Genovese, Y. Luo, G. Mazzola, A. Zen, S. Sorella, arXiv:2002.07401[TurboRVB: a many-body toolkit][Ab initio electronic simulation][Quantum Monte Carlo]
プレスリリース記事:「第一原理量子モンテカルロ法のソフトウェア「TurboRVB」を開発 - 密度汎関数法を超える次世代の電子状態計算を目指して - 」(北陸先端科学技術大学院大学のプレスリリース記事
プレスリリース記事2:「世界初:第一原理量子モンテカルロ法による格子振動計算に成功」(北陸先端科学技術大学院大学のプレスリリース記事
参考文献2:K. Nakano, T. Morresi, M. Casula, R. Maezono, S. Sorella, Phys. Rev. B 103, L121110 (2021)[Atomic force][Quantum Monte Carlo][Phonon dispersion calculation]
QMCPACK
[(旧)Project Home][New page(*)]: UIUC/NCSAによるQMCPACK Wikiページ。詳細は当該ページ参照。
EXC!TiNG
EU Research and Training Networkによるページ[What is EXC!TiNG?]、[The exciting Code]。
How exciting! 2022、6月14日〜6月23日(2022)、開催地:Riga(ラトビア)。詳細は案内ページ参照[中止]。
↑参考文献↑:A. Gulans, et al., "exciting: a full-potential all-electron package implementing density-functional theory and many-body perturbation theory", J. Phys.: Condens. Matter 26 (2014) 363202
C. Vorwerk, B. Aurich, C. Cocchi, C. Draxl, "Bethe-Salpeter equation for absorption and scattering spectroscopy: Implementation in the exciting code", arXiv:1904.05575
関連ページ:[The Elk FP-LAPW Code]("The EXCITING FP-LAPW Code"から名称及びアドレス変更、調査中 〔情報感謝〕)
EXC
[EXC]:L. Reining先生、V. Olevano先生、F. Sottile先生、S. Albrecht先生、G. Onida先生等によるコード。Bethe-Salpeter方程式を扱っている。使用方法、ライセンス等は当該ページをご参照下さい。
YAMBO
[YAMBO](旧SELF):A. Marini先生(ローマ大学)による"Ab-Initio Many-Body code"。GW+BS(Bethe-Salpeter)のような計算が可能。詳細は当該ページをご参照下さい(調査中)。
↑参考文献↑arXiv:0810.3118(arXiv.org)
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Density Functionals from the Truhlar Group
Density Functionals from the Truhlar Group(3/19、2024、アドレス変更を確認。Truhlar先生のグループ。詳細は、当該ページにある説明、ドキュメント等を参照)
関連文献arXiv:1212.0944(arXiv.org)
fropho
[fropho]:frozen phonon calculation code
東後氏(京大→NIMS)によるフォノン(格子振動)の計算及び解析を行なうコード。詳細は案内ページをご参照下さい。関連ページ:[phonopy and phono3py]
関連文献:[1]arXiv:1506.08498(arXiv.org)
[2]A. Togo, L. Chaput and I. Tanaka, Phys. Rev. B91, 094306(2015)[Distribution][Phonon lifetime][BZ]
[3]A. Togo, I. Tanaka, "Spglib: a software library for crystal symmetry search", arXiv:1808.01590.
[4]A. Togo, J. Phys. Soc. Jpn. 92, 012001 (2023)[First-principles phonon calculation][Phonopy][Phono3py]
[5]A. Togo, L. Chaput, T. Tadano, I. Tanaka, "Implementation strategies in phonopy and phono3py", arXiv:2301.05784
QBox等
QBOXの[ページ]
UCD Electronic Structure LaboratoryのF. Gygi先生のグループのところにあるコー ド。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと(詳細 調査中)。
関連ページ:www.quantum-simulation(QSO, Web tools, FPMD)
関連ページ2:ESTEST(ESTEST のページ)
DP code
DP codeの[ページ]
Linear Response TDDFT: V. Olevano先生、L. Reining先生、F. Sottile先生等によるLinear ResponseTDDFTのコード。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと。
loto,feram
[loto][feram]
feram (Ferroelectrics and Relaxor Analyzing Machine): molecular dynamics simulator for bulk and thin-film ferroelectrics and relaxors
西松先生(東北大→異動)のところにあるコード群(MDコードなど。他にも有用な コード等あり)。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照 のこと。
TOMBO
[TOMBO 2019(5/27以降、2021、アクセス不能を確認)][TOMBO](*):TOhoku Mixed Basis Orbitalab initio program
東北大学、川添先生などが開発している全電子混合基底による電子状態計算コード。詳細は案内ページ参照。
参考文献:S. Ono, Y. Noguchi, R. Sahara, Y. Kawazoe, K. Ohno, Computer Physics Communications, Volume 189, 20-30(2015)
QMAS
[QMAS]: Quantum MAterials Simulator
産総研、旧計算科学研究部門(〔旧〕ナノシステム研究部門)などが中心と なって開発している第一原理計算コード。詳細は案内ページ参照。
EPW
EPW(Electron-Phonon Wannier)、詳細は案内ページ参照。
参考文献:S. Ponce, E. R. Margine, C. Verdi, F. Giustino, arXiv:1604.03525[EPW][Electron-phonon coupling][Transport][Superconducting][Maximally localized Wannier functions]
参考文献2:H. Lee, et al., arXiv:2302.08085[Electron-phonon physics][First principles][Using the EPW code]
参考文献3:Z. Li, G. Antonius, Y.-H. Chan, S. G. Louie, arXiv:2306.12075[Electron-phonon coupling][GW perturbation theory][Practical workflow combining][BerkeleyGW][ABINIT][EPW]
Berkeley GW
Berkeley GW("the Berkeley GW - Bethe-Salpeter equation computer package")、詳細は案内ペー ジ及び、参考文献 (arXiv:1111.4429, J. Deslippe, et al., Computer Physics Communications, Vol. 183, Issue 6, 1269 - 1289)等参照。
stochasticGW
stocasticGW、詳細は案内ページ参照。関連ページ(Neuhauser先生のグループ、UCLA Department of Chemistry and Biochemistry)。
WEST
WEST-code、Galli先生のグ ループ(University of Chicago)によるGWコード(濱田さん〔NIMS→阪大〕情報感謝)。詳細は案内ページ及び、参考文献 (Marco Govoni and Giulia Galli, "Large Scale GW Calculations", J. Chem. Theor. Comput. 11, 2680 (2015))参照。
Questaal
Questaal package、M. van Schilfgaarde先生(King's College London)によるGWコード+その他。詳細は案内ページ参照。
参考文献:D. Pashov, Sw. Acharya, W. R. L. Lambrecht, J. Jackson, K. D. Belashchenko, A. Chantis, F. Jamet, M. van Schilfgaarde, arXiv:1907.06021[Questaal][Package of electronic structure methods][Linear muffin-tin orbital technique]
参考文献2:S. Laricchia, C. Eichstaedt, D. Pashov, M. van Schilfgaarde, arXiv:2404.02902[Electron-phonon coupling][Many-body perturbation theory][Implementation][Questaal electronic structure suite]
FlapwMBPT
FlapwMBPT(5/16、2024、アドレス変更を確認)、FlapwMBPTコード(Condensed Matter Physics & Materials Science, Brookhaven Science Associates)、MBPT: Many Body Perturbation Theory。詳細は案内ページ参照。
参考文献:A. L. Kutepov, arXiv:1911.05633[Self-consistent GW][O(N) algorithm][Polarizability][Self energy]
The object-oriented DFT program library S/PHI/nX
S/PHI/nX(sphinxlib)、詳細は案内ページ参照。
参考文献:S. Boeck, C. Freysoldt, A. Dick, L. Ismer, J. Neugebauer, "The object-oriented DFT program library S/PHI/nX", Comp. Phys. Comm. 182, 543-554(2011)
計算工学ナビ
計算工学ナビ(*)
Materials design at the exascale
MAX
European Center of Excellence (CoE) For Novel Materials Discovery (NOMAD)
NOMAD CoE
NOMAD Data Analytics Toolkit(*)
NOMAD Encyclopedia
参考文献:L. M. Ghiringhelli, C. Carbogno, S. Levchenko, F. Mohamed, G. Huhs, M. Lueders, M. Oliveira, M. Scheffler, "Towards a Common Format for Computational Material Science Data", arXiv:1607.04738.
参考文献2:C. Draxl, M. Scheffler, "NOMAD: The FAIR Concept for Big-Data-Driven Materials Science", arXiv:1805.05039.
RSDFT
RSDFT(*)、押山先生、岩田先生等による実空間差分法によるコード。入手方法、使用方法、ライ センス等の詳細は当該ページ参照のこと。
libTetraBZ
libTetraBZ、河村先生によるテトラヘドロン法法ライブラリ。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと。
FermiSurfer
FermiSurfer、河村先生によるフェルミ面描画に関する可視化ツール。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細 は当該ページ参照のこと。
参考文献:Mitsuaki Kawamura, "FermiSurfer: Fermi-surface viewer providing multiple representation schemes", Comp. Phys. Commun 239, 197(2019)[arXiv:1811.06177].
ALAMODE
ALAMODE、只野先生(NIMS)による格子振動(非調和)に関するプログラムパッケージ。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと。
CCMSハンズオン: ALAMODE講習会、8月5日(2024)、開催地:現地会場/東京大学物性研究所(柏、千葉)、オンライン会場/Web会議システム Zoom(ハイブリッド開催)。詳細は案内ページ参照[終了]。
参考文献:只野央将、「非調和フォノン物性の第一原理計算」、応用物理、第89巻、第1号、35頁(2020)
SALMON
SALMON(Scalable Ab-initio Light-Matter simulator for Optics and Nanoscience)のページ(TDDFT法)。光科学分野で有用。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと。
レーザー加工の理解と解析に向けたSALMON利用法講習会 - 高性能計算・データ分析基盤システム SQUIDを用いた応用計算ハンズオン - 、11月7日(2024)、開催地:web会議システム Zoomを使用したWeb。詳細は案内ページ参照。
(参考)分子研のプレスリリース記事
参考文献:Risa Amano, Daisuke Nishizawa, Tetsuya Taketsugu, and Takeshi Iwasa, J. Chem. Phys. 161, 124110 (2024)[Optical force and torque][Near-field excitation][C3H6][RT-TDDFT]
C-Tools
C-Tools、常行先生等による第一原理計算における入力関連補助ツール。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ参照のこと。
TRIQS/DFTTools: A TRIQS application for ab initio calculations of correlated materials
DFTTools、DFT+DMFT関連のツール。入手方法、使用方法、ライセンス等の詳細は当該ページ(及び、以下の参考文献)参照のこと。
参考文献:M. Aichhorn, et al., "TRIQS/DFTTools: A TRIQS application for ab initio calculations of correlated materials", arXiv:1511.01302 [Comp. Phys. Comm. 204, 200 (2016)].
参考文献2S. Beck, A. Hampel, O. Parcollet, C. Ederer, A. Georges, "Charge self-consistent electronic structure calculations with dynamical mean-field theory using Quantum ESPRESSO, Wannier90 and TRIQS", arxiv.org:2111.10289.
TC++: First-principles calculation code for solids using the transcorrelated method
参考文献: M. Ochi, Comput. Phys. Commun. 287, 108687 (2023) [arXiv:2302.07420].
Other codes
現在、調査中。
PETOT(ずっと以前に掲載していたサイト、最近存在を確認)
擬ポテンシャル関連
擬ポテンシャルに関連したサイト集の[ページ]へ。

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